積み立てではなく「一括」で投資する場合の考え方と方法は?3つのステップ

最近、よく聞かれるのが「積み立て投資の話は聞くけれど、“一括”で投資したい場合はどうしたらいいの?」という質問です。数百万円などのまとまったお金がある場合、「月数万円で積み立てたらいいの? それともまとめて投資するのもあり?」と悩む方もいるでしょう。

いったいどうしたらよいのか。今回は、積み立てではなく、「一括」で投資する場合の考え方&方法について、3つのステップでお伝えします。


ステップ1:万一の際の生活資金を確保

まとまったお金があって、それを増やそうと思う前に、ぜひチェックしたいことがあります。それは、「万一の際の生活資金」の確保ができているか。

何もないのが一番ではありますが、人生、何が起きるかわからないものです。「今すぐ会社を辞めたい!」と突然思うかもしれませんし、体調不良により長く仕事から離れるケースもあるかもしれません(会社員は、条件を満たせば傷病手当金が最長1年半など受け取れますが、長く療養するケースもあります)。

そんな万一の際の生活資金として使えるように、手取り収入の半年分~1年分は、確保しておきましょう。特に一人暮らしの方(実家に気軽に帰れない方)、会社員以外の方(非正規雇用、フリーランスなど)は、しっかり備えておく必要があります。

手取り20万円なら、半年分の120万円以上は、定期預金などに入れておきましょう。「万一のとき以外は使わない」と心に決め、そのお金はないものと生活しておけば、万一の際にも焦らずに済みます。

ステップ2:そのお金は「いつ使いたいのか」を確認

万一の生活資金を確保したうえで、さらに300万円や500万円など、まとまったお金がある場合。「預貯金に置いたままではなかなか増えないから、何か違うもので増やしたい」と考えた場合にはどうしたらよいのでしょうか。

まず考えたいことは、そのお金を「いつ使いたいのか」です。1年後? 3年後? それとも、10年以上先でしょうか。

直近で使い道が決まっているお金なら、投資に回すのは得策ではありません。リーマンショックやコロナショックのように大きく相場が下がってしまえば、元本割れをした状態で現金化をすることになるからです。

そこで、そのお金を使いたい時期について、「今後5年以内」「10年以上先」「老後などずっと先」と3つに分けて考えてみてください。

ステップ3:それぞれの時期に応じて投資先を選ぶ

使う時期を確認できたら、それに合わせた投資先を選びましょう。

1)今後5年以内に使う場合
今後5年以内であれば、投資は避けるのが賢明です。その間に相場が下がって、回復を待つ時間がないまま、現金化する必要が出てしまうリスクがあるからです。

そのため、元本保証タイプが選択肢。少し金利のいいネット銀行や地方銀行のネット支店の定期預金がよいでしょう。

12月や6月のボーナスシーズンには、ネット銀行や地方銀行のネット支店で、ボーナス金利キャンペーンがある場合も。少し金利がいいケースが多いため、そのタイミングでまとめて預けておくのもおすすめです。「貯蓄専用口座」にすれば、うっかり引き出して使ってしまうことも防げます。

使い時期が5~10年くらいなら、個人向け国債(変動10年)も選択肢です。変動金利なので、今後金利が上がった場合、預け替えることなくその恩恵にあずかれます。10年以内に中途解約をしても、受け取った利息以上にペナルティを払うことはないので、中途解約による元本割れがない仕組みです。

2)10年以上先に使う場合は
10年以上先なら、投資にまわすことを検討しましょう。ただし、今すぐ一括で投資するのは危険。もし、今後相場が10年にわたって確実に上がるのであれば、今すぐ全額投資すればいいのですが(上記の1のお金含めて)、相場の動きは誰にもわかりません。

そのため、例えば10年以上先に使う300万円があったとして、数十万円ずつなど、時期を分散させて投資信託を買っていくのが一案です。

さらに、今後10年の間には、どの国が盛り上がりを見せるかはなかなか読めませんので、先進国や新興国などの株に分散させて数本の投資信託を選ぶか、全世界の株に幅広く投資先を分散させている投資信託1本、またはバランス型といって、国内外の株や債券などに分散させている投資信託1本にするとよいでしょう。

3)老後に使う場合は
老後までたっぷり時間がある場合は、上記の「2」と同じく、少し時期を分散させながら、投資信託にするのが選択肢です。

もし、iDeCoを始められていない方なら、自分の月の上限額を確認し(働き方などによって異なります)、その範囲内で(可能なら上限額で)積み立てていくのもよいでしょう。掛け金が全額所得控除となり、収入が高い人ほど、税金面でもお得です。

ただし、iDeCoは60歳まで原則引き出しができませんので、「確実に老後資金にする!」と決めたお金で行いましょう。

「積み立て」も同時並行で

とはいえ、やはり「積み立て」のパワーも絶大です。まとまったお金がある方でも、同時進行で毎月の積み立てを行っていきたいところ。積み立てには預貯金と投資信託などがありますが、併用することもおすすめです。

収入から毎月一部を投資に回すことで、運用する原資を補給していくようなイメージで、雪だるま式にお金をどんどん増やすことにつながるでしょう。

「まとまったお金」がある方は、上記3つのステップ&積み立てについて、ぜひ検討してみてください。

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