福島の教訓 長崎で知る 地震で止まった時計など 伝承館が県外初の特別展

展示品について解説する高村館長(左)=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年がたった福島の現状を伝える「長崎特別展」が3日、長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で始まった。地震発生時刻で止まった時計などを展示。19日までの期間中、主催の東日本大震災・原子力災害伝承館(福島県双葉町)職員による講話もある。
 伝承館は災害の記憶や教訓を後世に伝えるため、福島県が昨年9月に開設した。実物資料を集めた本格的な特別展を同県外で開くのは初めて。
 展示したのは計約80点。写真パネルは安楽死した家畜や、防護服姿で行方不明者を捜索する様子など。当時を物語る実物として、内部被ばくの放射線量を調べるホールボディーカウンターや避難所の簡易更衣室、児童の靴が残ったままの浪江小のげた箱など、伝承館の所蔵品が並ぶ。
 伝承館の髙村昇館長=長崎大原爆後障害医療研究所教授=は開会あいさつで、福島県で今も3万人余りが避難を余儀なくされていることに触れ「事故は過去のことではない。被爆地長崎の人たちに見てもらい、福島のことを自分のこととして考えてほしい」と述べた。田上富久市長は「被爆地として、福島の皆さんと共有できることはたくさんある」と市民に来場を呼び掛けた。


© 株式会社長崎新聞社