「ジビエバーガー」を名物に 駆除のシカ肉活用 五島・玉之浦の住民が開発

シカ肉を使って栗原シェフが試作したジビエバーガー

 「ジビエバーガーを新たな名物に」。長崎県五島市玉之浦町の住民有志が、駆除したシカの肉を使ったハンバーガーの開発を進めている。11月、東京で活躍する料理人を招き、レシピ開発と試食会を開催。レシピを基に商品化し、来年1月中旬ごろから販売する予定。
 市内で昨年捕獲されたシカ約1500頭のうち7割を同町が占め、住民はシカが農作物を食い荒らす食害などに悩まされている。一方、駆除しても、肉に臭みが強いイメージなどから活用が進んでいなかった。市は今年10月、同町に害獣捕獲の新しい情報通信技術(ICT)を導入し、地元で駆除に携わる住民が自宅倉庫を加工場として整備。駆除肉の有効活用を図ることにした。

ミートソースを掛けたジビエバーガーの試作品を完成させる栗原シェフ=五島市玉之浦町、古民家「松ノ下」

 地元住民でつくる同町未来拠点協議会(野澤努会長)がシカ肉を使ったハンバーガーを検討。11月下旬、東京で活躍するスペイン料理シェフの栗原靖武さん(45)ら2人を市が招き、レシピ開発と試食会を開催。ミートソースを掛けたり、チーズをのせたりした6品を作り、参加者が意見を出し合った。
 試食した同市末広町の飲食店経営、的野秀子さん(63)は「臭みやパサパサとした食感がなく、牛肉のような感覚で食べられた」。栗原さんは「シカ肉のうま味が強く、品質は高い」と印象を語った。
 地域おこし協力隊として有害鳥獣対策に取り組んでいる野澤会長(54)は「捕獲から加工までが町内の近い範囲内で完結し、品質を落とさずに作ることができるハンバーガー。玉之浦に食べに来てもらえる商品にしたい」と意気込む。


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