長崎県知事選 自民県連、現職推薦せず 新人大石氏に決定 保守分裂も

 自民党長崎県連は29日、来年2月の知事選で現職の中村法道氏(71)=3期目=ではなく、元厚生労働省医系技官で新人の大石賢吾氏(39)=五島市出身=を推薦すると決めた。ただ同日の協議では、双方推薦を求めるなどの異論が噴出。選挙態勢の構築は難航が予想され、保守分裂となる可能性も出てきた。
 自民県連は2010年知事選で中村氏を支援し初当選に貢献、その後2回は推薦していた。今回は両氏から推薦願が提出された。
 同日、選挙対策委員会と常任総務会を長崎市内で開いた。終了後の会見で山本啓介幹事長は「常任総務会で(選対の決定が)了承された」と説明。これに対し、中村氏推薦や双方推薦を求めた県市議らは「常任総務会は全会一致が原則。了承していない」と反発している。県連は党本部に推薦を求めるかどうか検討する。
 選対は国会議員、県連役員、県議、地域支部、職域支部の代表ら32人で構成。この日は31人が出席した。意見がまとまらず紛糾、意向調査(投票)の結果、関係者によると、大石氏17票、中村氏13票、白票1票だった。
 選対では中村氏に対し、農業振興の実績などを評価する一方、後任探しが難航した末の出馬表明を疑問視する声が出た。大石氏には、医学的な見地からの新型コロナウイルス対策への期待、政策が具体的でないとの指摘など賛否が挙がった。
 知事選はこれまでに県農政連盟や県市長会、県町村会などが中村氏を、県医師連盟と県薬剤師連盟が大石氏をそれぞれ推薦した。このほか東京都の会社社長、宮沢由彦氏(54)も出馬を表明している。


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