知事選 自民県議 真っ二つ 大石氏推薦の一方、半数が中村氏支援

 来月の知事選を巡り自民党県連が現職の中村法道氏(71)=3期目=ではなく、元厚生労働省職員の新人、大石賢吾氏(39)=五島市出身=の推薦を決めたことについて、執行部三役を除く同党県議27人のうち、12人が納得せず中村氏を支援する意向であることが7日、本紙の取材で明らかになった。これに対し別の12人は決定に従うとしており、分裂選挙に突入する可能性が強まっている。
 県議会で自民県議は「自民・県民会議」と「自民」の2会派に割れていたが、先月下旬に一部を除き新会派に合流したばかり。県連の決定に納得していない12人は県民会議、従う12人は自民の所属だったが、再び対立の構図が表面化した。
 他の3人のうち1人は「決め方がおかしい」とだけ述べ、残り2人は取材に答えなかった。
 先月29日の県連選挙対策委員会(選対)は意向調査(投票)で大石氏推薦を決定したが、直後の常任総務会では賛否両論が相次ぎ紛糾。執行部が「了承された」と押し切ったが、反発する党員から怒号が飛び交った。
 決定に納得していない理由は「常任総務会は満場一致が原則」「横暴な決定で承認していない」など。「石木ダム建設やIR(カジノを含む統合型リゾート施設)誘致は中村氏でなければできない」と現職を評価する声や、大石氏に対しては「知名度がない」「具体的な政策が見えない」などの意見があった。
 一方、従う理由は「組織の決定だから」が多かった。「中村氏は3期12年で石木ダム反対住民を説得できていない。4期目で何ができるのか」など現職への不満や、大石氏には「医療過疎や人口減少対策などに新たな発想で取り組んでほしい」「若く情熱がある点が魅力」などの期待感が聞かれた。
 県内各地の党地域支部でも対応が割れている。県連幹事長の山本啓介県議は「常任総務会では執行部は全会一致となるよう努めることが求められ、選対の決定を報告し了承をいただいたと認識している。今後も決定に従っていただけるよう努力したい」としている。


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