県下一周駅伝2年連続中止 70回大会は来年へ持ち越し

直近の第69回大会は沿道もにぎわっていた=2020年2月、大村市内

 28~30日に長崎新聞社前発着で開催予定だった第70回郡市対抗県下一周駅伝大会について、主催する長崎新聞社と長崎陸上競技協会は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止を決めた。中止は2年連続。
 長崎県内の新規感染者数は過去最多を更新し、今後も大幅な増加が懸念されている。今大会には県内外に居住する約400人がエントリーし、感染や病床逼迫(ひっぱく)のリスクが避けられないと判断した。
 県下一周駅伝は県内11地域の代表選手が42区間計407.3キロでたすきをつなぐ。昨年は規模を縮小して開く予定だったが、年末年始の感染者急増で史上初の中止を余儀なくされた。今年は沿道応援の自粛を呼び掛けた上で通常開催する方向で準備を進めていたものの、新変異株オミクロン株の国内流行と重なり、第70回の記念大会は再び来年に持ち越された。

◎「残念」「来年こそ」 関係者らため息

 郡市対抗県下一周駅伝大会の2年連続中止が決まり、節目となる第70回大会はまた持ち越しとなった。主催者は苦渋の決断に理解を求め、出場予定だった選手や監督からはため息が漏れた。
 主催する長崎陸協の澤田洋理事長は「2年越しの大会を楽しみにしていた方、こつこつと練習会を頑張ってきた選手たちには申し訳ない決断になった。70回の記念大会でもあるので、今年は見送ってわだかまりのない状態で開いた方がいいと判断した」と説明する。
 本番まで2週間を切り、各チームは最終調整に入っていた。総合3連覇を目指していた大村・東彼の野口康之総監督(60)は主催者から中止の電話が入り「メンバーも固まり、区間配置をどうするか考えながら気持ちが高ぶっていたところだった」と肩を落とした。
 島原半島の永友優雅(36)は今回、4年ぶりに復帰した夫直樹(41)、小学5年生の長女蒼来(11)と3人で出場予定だった。「娘は始業式で駅伝を頑張ると作文を読んで張り切っていた」が、中止を聞いて涙を流したという。「3人で走るのは夢。昨夏からこの大会を目標にしてきた」と残念がりながら「来年も走れるようトレーニングを重ねていきたい」と前を向いた。
 毎年、大会第2日に選手らが宿泊するうぐいすや旅館(雲仙市)の松本幸則支配人は「この地域では数少ない冬のイベント。皆さんも楽しみにしていたし、やっていただきたかったのが本音」と語り「来年こそ記念大会を盛大に開いていただければ」と期待していた。


© 株式会社長崎新聞社