全国都道府県対抗女子駅伝 長崎5位入賞 廣中、初の9区で5人抜き 6大会連続区間賞

長崎のアンカー廣中(日本郵政グループ、左)が残り400メートルで大阪を抜き5位に浮上する=たけびしスタジアム京都

 第40回全国都道府県対抗女子駅伝は16日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)発着の9区間、42.195キロのコースで行われ、長崎は2時間17分8秒で3大会ぶり(昨年の第39回大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)の入賞となる5位でフィニッシュした。最終9区の廣中璃梨佳(日本郵政グループ、長崎商高出身)は31分27秒で6大会連続区間賞を獲得。レースは京都が2時間15分5秒で最多の優勝回数を18に伸ばした。
 長崎は1区森智香子(積水化学、諫早高出身)が首位と35秒差の7位で発進。2区蔦野萌々香(諫早高)も区間3位の好走で4位に順位を上げ、首位との差を9秒まで詰めた。その後は徐々に遅れて15位まで落ちたが、6区水谷陽菜(諫早高)の区間8位、7区北原芽依(十八親和銀行)の区間5位などで再び順位を上げ、10位でアンカー廣中へ。廣中は5人を抜いて、5位でゴールした。
 京都は1区の9位スタートから、2区井手彩乃(ワコール、大村高出身)の区間6位などで追い上げ、8区山田祐実(加茂川中)で初めて首位に浮上。最後は東京五輪1万メートル代表のアンカー安藤友香(ワコール)がリードを守り切った。序盤から首位争いに絡み続けた福岡が2位。7区までトップに立っていた宮城が3位に続いた。

◎古里への思い 力に熱走
 入賞圏内の8位まで9秒差の10位で受け取った古里のたすき。アンカーを初めて任された廣中(日本郵政グループ)は「1秒を削り出す」という一心で、最長区間の10キロを駆け抜けた。5人を抜いて5位でゴールすると、出迎えてくれた仲間たちとの間に笑顔の輪が広がった。
 桜が原中時代からのトレードマークである帽子をかぶり、前を追った。あっという間に4人を置き去りにして6位へ浮上。「たすきに力が込められていて、最後まで力を出し尽くせた」。1分18秒も離れていた大阪もトラック勝負でかわした。
 社会人3年目の21歳。今季は東京五輪をはじめ、大舞台で結果を出し続けてきた。その連戦の疲れもあり「5、6割の状態。不安の方が大きかった」。スタッフ陣に「代理の選手も考えてほしい」とまで伝えていた。
 それでも「出たい気持ちは強かった」。藤永監督(五島高教)は「できることだけでいいから、スタートラインに立ってくれたらうれしい」と言ってくれた。慣れ親しんできたえんじのユニホームは、やっぱり力を与えてくれた。
 これで連続区間賞記録を「6」に伸ばした。区間賞6回は福士加代子、新谷仁美が持つ大会最多記録に並んだが、それをまったく気にしていないのが廣中のいいところ。「何よりもチーム全員で戦って入賞するのが一番の目標だった」
 長崎のエースにとって地元の先輩、後輩たちと一緒につかんだ賞状は、自分1人の栄誉よりも、大切で、価値ある賞状になった。


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