子育て中の職員、出勤できず 休園や休校相次ぎ… 栃木県内の医療、福祉現場

さつきホームクリニックは職員の子どもの発熱を受け、新型コロナの感染の有無を調べる医療機器を設置した=21日午後、宇都宮市花園町

 新型コロナウイルスの流行「第6波」の影響で保育施設の休園や学校の休校が相次いでいるため、子育て中の医療従事者らが仕事を休むケースが出ている。感染拡大が続けば、人手不足で通常診療などを制限する事態も招きかねない。現状を「厳しい状況」と明かす医療、介護の現場は、綱渡りで人員確保に努めている。

 栃木県足利市内で4カ所のデイサービス施設を経営する「楽笑(らくしょう)」のマネジャー須永英明(すながひであき)さん(43)は「職員のシフト対応がぎりぎりの状況だ」と吐露する。

 1月に入り、子どもの学校が休校や学年閉鎖となり、休暇を申し出る職員が増えた。「当日の朝になって連絡が入るので、そこから代わりの職員を探す必要がある」。施設利用者に対して必要な職員数が決まっているため、毎日が綱渡りだという。

 施設利用者は重症化リスクの高い高齢者だけに、職員の体調管理や感染対策には一層気を配らなければならない。必要な費用負担も増えた。須永さんは「非常に厳しいが、対策を徹底して乗り切るしかない」と話した。

 宇都宮市花園町のさつきホームクリニックは21日、新型コロナ感染の有無が十数分で分かる遺伝子検査装置を導入した。前日、医師の子どもの発熱を受けて急きょ業者に手配した。

 子どもを検査し、陰性を確認。谷川希代子(たにがわきよこ)事務長(39)は「良かった。数日でも先生がいなくなったら大変と言っていたが、これで先生も安心して働けます」と話した。

 この日、別の職員の子どもが通う保育園は休園に。2人の子どもがいる谷川事務長は「明日はわが身。現場が回らないとどうしようもない」と緊張感を高めた。

 介護施設も運営する宇都宮市桜2丁目のさくらがおかクリニックの職員は約200人で、子育て世代の母親が多い。依田祐輔(よだゆうすけ)院長(55)は「濃厚接触者などになって一度に複数人が休めば、外来に混乱を来す恐れがある」と危機感を抱く。

 2月からは一般高齢者の3回目のワクチン接種が始まり、業務負荷の増加が予想される。依田院長は「診察を止める訳にはいかない」と強調し、感染対策に細心の注意を払っている。

さつきホームクリニックは職員の子どもの発熱を受け、新型コロナの感染の有無を調べる医療機器を設置した=21日午後、宇都宮市花園町

© 株式会社下野新聞社