コロナ禍 学びの場どう守る? 長崎県内 相次ぐ学級・学年閉鎖…職員、保護者の苦悩

「長引くコロナ禍で学びの機会はどうなってしまうのか」。学校現場では苦悩が続いている(写真はイメージ)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、長崎県内でも学級・学年閉鎖などが相次ぎ、教育現場に大きな影響を与えている。中でも佐世保市では小学校2校でクラスター(感染者集団)が発生するなど感染が広がっている。長引くコロナ禍に「学校で学ぶ機会がどんどん失われていく」と、教育現場では危機感が強まっている。
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 今年、学級閉鎖を経験した佐世保市内の中学校。学校関係者の陽性が判明すると、教職員で行動歴を調べ市教委を通じて保健所へ連絡するなど対応に追われた。
 過去にも生徒ら関係者の感染を経験した同校。第6波で感染した生徒数は多くないものの「家族など生徒の周囲が陽性となってしまうケースが非常に多くなった」。同校の男性教諭は過去の感染拡大時との違いを感じている。濃厚接触者として自宅待機が必要な場合や検査がなかなか受けられない生徒が多いという。
 授業でのグループワークに部活動、制限された修学旅行。コロナ禍は教育現場から勉強だけでなく「学校ならでは」の学び、交流の機会も奪ってきた。「生徒同士の人間関係づくりを難しくしてしまっていると思う」。同校の女性教諭はコミュニケーションの機会が失われている現状をため息交じりに訴える。取材の最中も職員室からは、電話でコロナ関連の対応に奔走する教職員の声がかすかに聞こえてきた。
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 保護者は現状をどう受け止めているのか。「一抹の不安も抱えながら通わせている」と話すのは、佐世保市の自営業の女性(43)。子どもが通う小学校では先月、子どもの学級を含め複数の学級が閉鎖となった。学校から連絡が入ったのは前日の夜。翌日の仕事を休む手はずを慌てて整えた。子どもは濃厚接触者には該当しなかったが、感染力の強いオミクロン株の急拡大が気になった。「本当に検査しなくてよかったんだろうか」。不安は残ったままだ。
 連日のように報じられる学級・学年閉鎖のニュース。女性の子どもは習い事で他校の子どもと接する機会がある。「どこで学級閉鎖や休校が起きているか教えてほしい。このままでは疑心暗鬼になる」と切実だ。
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 「とうとう来たか-」。佐世保市の30代女性は、子どもが通う小学校が1月下旬に学級閉鎖となった際のことを振り返る。「どこどこの学校で感染者が出た」。第6波ではそうした情報が駆け巡った。「(感染者が出ても)仕方がない」。女性はそう受け止めた。
 女性が働く児童関連施設でも同時期に陽性者が判明した。感染などによって職員の人手が足らず施設は休園し、自身も自宅待機となった。手洗いに手指消毒、密の回避。どこもできる限りの策は施しているがそれでも感染は起きた。子を持つ身であり、子を預かる職に就く両方の当事者。だからこそ「どこで陽性者が出てもおかしくない」とあらためて痛感した。
 今後も学級閉鎖などが起きれば「勉強への影響」など心配もある。女性はこう漏らした。「これ以上、やれる感染対策なんてあるんでしょうか」


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