佐賀知事に反対署名提出 玄界灘の洋上風力発電事業 長崎県などの漁協、1万8900人分

山中会長(左)から署名を受け取る佐賀県新エネルギー産業課の大野伸寛課長=同県庁(佐賀新聞提供)

 長崎県平戸市的山大島から佐賀県唐津市沖にかけての海域で複数の洋上風力発電事業が計画されているのを受け、長崎、佐賀、福岡3県の漁協が9日、漁業に深刻な影響があるとして、中止を求める約1万8900人分の署名を佐賀県知事宛てに提出した。
 各漁協は昨年秋、玄界灘洋上風力発電建設反対協議会(川口安教会長=唐津市の小川島漁協組合長)を設立した。本県からは、平戸市内7漁協でつくる同市水産振興協議会と、新松浦漁協(松浦市)が加盟。両者は既に、いずれの計画にも反対する意向を国と佐賀、長崎両県に伝えている。
 平戸市によると、この海域は大手企業などの計画が4件あり、重複するエリアもある。同市水産振興協議会によると、トビウオなど多様な魚が回遊する好漁場。風車の振動で魚が激減すると懸念している。
 中止を求める署名は小川島漁協が昨年12月に開始。今年1月以降、反対協議会として本格化させた。一方、佐賀玄海漁協(唐津市)は同月、環境影響評価(アセスメント)推進の陳情書と署名3300人分を唐津市へ提出した。
 9日、関係者約10人で佐賀県庁を訪ねた平戸市水産振興協議会の山中兵惠会長は終了後、「計画が実現すれば漁業者の生活、漁業の将来が破壊され、観光客が求める平戸の新鮮な魚も失われる」と述べた。
 同市の黒田成彦市長は取材に「漁業者の不安を市も共有している」と懸念を示した。
 署名を受け取った佐賀県新エネルギー産業課は「民間の環境アセスメント手続きが進んでいるが、(整備促進区域指定などは)まだ何も決まっていない」と話した。


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