長崎市、一般会計2167億円 2022年度当初予算案発表 大型事業にめど、前年度比3.4%減

長崎市一般会計当初予算案

 長崎市は14日、2022年度一般会計当初予算案など47件を発表した。一般会計の歳入・歳出は2167億1千万円で、前年度比3.4%の減。MICE施設「出島メッセ長崎」が完成し、新市庁舎建設などの大型事業に一定のめどが付いたため、投資的経費(245億3100万円)が同30.4%減少したことが主な要因。21日開会予定の定例市議会に提出する。
 田上富久市長は会見で、新年度当初予算案について「これまで築いてきた『まちの基盤』を舞台に、未来を創造していくための予算」と説明。新年度から30年度まで9カ年の第5次総合計画が始まることに触れ、「長崎の個性を生かし、選ばれるための街づくりを進める」と述べた。
 歳入のうち、市税は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく落ち込んだ前年度より一定回復し、前年度比5.7%増の539億2700万円を見込む。国庫支出金など依存財源は前年度比2.0ポイント減の64.3%を占めた。歳出は、職員の人件費などを含む経常的経費が人事給与管理システム整備費の増などにより、前年度比1.6%増の1921億7900万円。
 新年度の新規・拡大事業は150件で、前年度より41件増加。借金に当たる市債残高は22年度末時点で前年度比1.9%減の2775億4300万円、市民1人当たり68万3千円となる。貯金に当たる基金(財政調整、減債)は、現時点での本年度予算額145億円から73億円に減る見通し。
 市は同日、21年度一般会計補正予算案も発表した。「ポストコロナ」を見据えた対策事業費や基金積立金など計21億6900万円を増額。補正後の予算総額は2659億8300万円となる。

◎コロナ禍からの復興、人口減克服など 四つのテーマに重点

新年度当初予算のポイント

 長崎市の新年度一般会計当初予算案は、「コロナ禍からの復興」「人口減少克服」「官民挙げたデジタル化」「ゼロカーボンシティ実現への取り組み」の四つを、重点テーマに掲げた。
 3年目に入った新型コロナウイルス対策については、1月の補正予算を含めた「15カ月予算」で対応。当初予算案には各種感染対策のほか、芸術文化活動を支援するため、感染拡大防止に伴い公演などが中止・延期となった団体に対し、催事開催の補助(8900万円)を新たに盛り込んだ。
 人口減少克服では、県外企業と地場企業の交流を図るため、サテライトオフィスの進出を促進する事業(2400万円)を展開。住環境の改善に向けては、市営住宅の一部を子育て世帯向けにリフォーム(1億2500万円)、野母崎地区の市営住宅の建て替え(2億9500万円)などに取り組む。これらを通して「若い世代に選ばれる魅力的なまち」を目指す。
 デジタル技術により、地域課題解決や、利用しやすい行政サービス導入に向けた新たな取り組みも始める。新年度は、民間保育所などの情報通信技術(ICT)化の推進支援(2千万円)、行政手続きのオンライン化に向けた環境整備(6200万円)などを事業化した。
 2050年までに、二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」の実現に向けた事業もスタート。再生可能エネルギー活用の推進(5100万円)のほか、地域住民にも「脱炭素社会」への意識を高めてもらうため、ふれあいセンターなど照明をLED化(7100万円)などに予算計上している。


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