佐世保市 一般会計1212億円 2022年度当初予算案発表 前年度比3%増、過去2番目規模

佐世保市一般会計当初予算案

 長崎県佐世保市は17日、2022年度の当初予算案を発表した。一般会計は1212億2100万円(前年度当初比3%増)で過去2番目の規模。新型コロナウイルス感染症対策を念頭に置き、町づくりや観光などの重要施策「リーディングプロジェクト」などに重点配分した。24日開会予定の定例市議会に提出する。
 朝長則男市長は予算編成方針の説明で、「新型コロナの感染拡大防止と社会経済活動の両立を図り、ポストコロナの新しい社会実現を目指す」と強調。市政運営の指針とする総合計画を着実に実行し、「次なる時代、次なる未来へ挑戦する」とアピールした。
 コロナ対策には16億7千万円を計上。感染防止対策では3回目のワクチン接種を推進。経済対策では「ウイズコロナ社会に対応した経済成長を目指す」とし、観光需要回復を図るほか、消費喚起策を打ち出す。
 ポストコロナに向け、デジタル技術で暮らしや産業を変革させるデジタルトランスフォーメーション(DX)に注力する。
 リーディングプロジェクトでは、名切地区再整備でリニューアルした中央公園の供用を4月に開始。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致の実現を見据えた準備に入る。
 このほか、市制施行120周年を記念し、佐世保の未来を考える若者会議やグルメフェスティバルなどを開催。二酸化炭素(CO2)排出をゼロにする「ゼロカーボンシティ」に挑戦する事業費も組み込んだ。
 一般会計の歳入で自主財源の柱となる市税は、コロナ禍前の水準に戻ると想定し、前年度比5.5%増の294億円。歳出は前畑崎辺道路整備、学校給食費の公会計化、新型コロナ対策などの事業で膨らんだ。
 借金に当たる市債残高は22年度末見込みで967億5千万円。市民1人当たりに換算すると39万7800円となる。
 一般会計の財源不足分は、貯金に当たる2基金(財政調整・減債)から計37億3千万円を繰り入れる。2基金の22年度末の残高は87億3千万円となる見込み。

◎「DX戦略」推進 ポストコロナで優先配分

DX戦略

 佐世保市は、デジタル化を推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)に総事業費約4億9400万円を優先配分した。ポストコロナや人口減少に対応するのが目的。
 市は二本柱の「DX戦略」を策定して推進の方向性をまとめており、新年度から6年かけて窓口業務や内部事務のほか、観光や保健福祉などの「まちづくり分野」でも取り組みを進める。
 新年度当初予算案では、先行的に取り組む「DXリーディング事業」として31事業に約2億7900万円を充てた。このうちキャッシュレス化推進に約2300万円。証明書発行手数料などの市役所での支払いについてクレジットカードや電子マネーによるキャッシュレス決済を導入する。納付書による支払いについてはコンビニでの支払いやキャッシュレスで対応できるように準備を進める。
 市が本年度から進めている手続きのオンライン化は新年度、新たに390手続きを追加。2023年度までにオンライン化が可能な手続きの6割が対象となる見込み。新年度の事業費として約520万円を充てる。
 「DX戦略関連事業」として、“脱はんこ”を進めるなどの事業に計約2億1500万円を盛り込んだ。
 「DX戦略」は2月に策定。市によると、DXに特化した戦略を作ったのは県内で初めてという。


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