新幹線9月23日開業 経済界「いよいよ」「感無量」 全線フル求める声

 若者の流出、人口減に直面する長崎県。西九州新幹線開業を巡っては、沿線自治体の経済界を中心に交流人口拡大や観光活性化へ期待感も大きい。「いよいよだ」「感無量」-。開業日決定を関係者や市民は歓迎し、観光・宿泊業界は新商品や記念プラン作りに余念がない。ただ、長崎-博多の所要時間の短縮効果は限られ、「全線フル規格」実現を求める声が聞かれた。
 「感無量。(新幹線は)われわれの悲願だった」。諫早商工会議所の黒田隆雄会頭は開業日発表を万感の思いで受け止めた。「(地方にとって)新幹線開通は『まち・ひと・しごと創生』の要となる」と期待を込める。
 大村市観光コンベンション協会の酒井辰郎会長も「いよいよ日付が決まったことで、開業に向けた最終的な取り組みも進んでいく」と声を弾ませる。新大村駅内にはアンテナショップも開設予定で、「地元特産品のPRや観光ルートの紹介にも力を入れていきたい」。
 開業効果を最大限に発揮するためには、官民連携での知恵と工夫が鍵となりそうだ。県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務理事は「コロナ禍で大きな影響を受け、1日でも早い開業を願っていたので9月になったのはありがたい。長崎市内の事業者を中心に開業記念宿泊プランの作成や、荷物を預かる『手ぶらで観光』サービスの復活を計画している。事業者、行政が一体となって受け入れ態勢を整え、おもてなし感を高めていけるかが大事になる」と気を引き締める。
 長崎市を拠点に展開する長崎バス観光も、定期観光バスに長崎の夜景を取り入れるプランを検討し、観光の充実を図る考えだ。ただ、部分開業となるため、時短効果は限定的。辻克彦営業GMは「九州新幹線開業で鹿児島が潤ったように、流入人口の増加に大いに期待している」としつつ、「新型コロナも収束しておらず、客がどのくらい来るのか読めない部分もある」と明かす。同市の主婦、今井節子さん(73)も「開業日が決まりうれしい。大阪にいる娘に会いに行くときに利用したい。でも(新幹線と在来線の)乗り換えはやはり不便。早く解決してほしい」と長崎-博多の全線フル規格実現を求めた。


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