<明日を見つめて 佐世保中央高からの便り・下> 働きながら学ぶ 夢をかなえられる場所

馬を連れて歩く梶本さん=佐世保市、ホースランド

 「学校とバイトの両立は大変だけど、いろんな人の支えと、馬が好きという気持ちで頑張れている」。長崎県佐世保市のハウステンボス内にある馬車ツアー体験などを提供する施設「ホースランド」で働く県立佐世保中央高夜間部夜間コース1年の梶本輝(あきら)(16)。ホースランドで働きたいからと進学先に同校を選択した。「夜間コースは夢をかなえられる場所」と笑顔で語る。
 動物好きだった梶本は、中学2年の時に職業体験として訪れた同施設で初めて馬と触れ合い、魅了される。冬休みには自ら頼んで手伝いに行かせてもらうほど馬に夢中になった。
 同施設の現場責任者、久田亜希(43)は「正月も手伝いに来ていた。こんな中学生がいるのかと熱心さに驚いた」と振り返る。3年になってもその熱意は変わらず、久田との交流も続く。ゆくゆくは同施設で働きたいからと、進路も働きながら学べる同校を希望。担任教諭や家族と何度も話し合いを重ね、同施設の協力も得て、同校の門をくぐることになった。
 入学後は週5回程度、同施設でのアルバイトを入れている。平日にアルバイトがある日は午前9時から午後3時まで働き、電車で午後4時半までに登校。夜の給食を食べた後、午後9時頃まで授業を受けて電車で帰宅。家に着くのは午後10時頃になる。週末は朝から夕方までアルバイトに励んでいる。
 仕事内容は馬の部屋の掃除やエサ作り、手入れ、ガイドの補助など。アルバイトを始めたころは思う方向に動いてくれない馬に振り回された。新人スタッフは誰もが通る“洗礼”だという。中学卒業後すぐに“大人の仲間入り”をしたため、言葉遣いなど基本的なところから学んだ。「手伝いとお金をもらって働くのとでは全く違った。最初は学校もアルバイトも学ぶことが多くて、体力的にも精神的にもきつかった」と振り返る。「でも周りの人の支えのおかげで、なんとかここまでこられた」と話す。
 昨年の夏休みに、連日フルでシフトに入ったことで自信がつき、馬が安心して付いてきてくれるようになった。久田は「最近は馬の性格に合わせて接することができるようになったし、本当に馬が好きなんだろうなと思う」と温かく見守る。「今後は後輩が入った時に、引っ張っていってくれる存在になってほしい」と期待を込めた。
 学校では、アルバイトをしている多くのクラスメートや、年上の同級生など、いろんな友人との交流を楽しんでいる。「やりたいことに合わせて勉強スタイルを選択できるのは魅力。今後も勉強を頑張りつつ、仕事ではガイドがもっとうまくできるよう、頑張りたい」と目を輝かせる。=敬称略=


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