「核共有」政策導入を提言 安倍氏らに抗議文送付、撤回求める 長崎の証言の会

 被爆証言の記録を50年以上続けている市民団体「長崎の証言の会」は1日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて「核共有」政策を導入すべきと提言した安倍晋三元首相らに対し、抗議文を送付したと発表した。国内に核兵器を持ち込めば、日本が攻撃を受ける危険が高まり、国際的な評価も低下すると指摘。「心底からの怒りを表明し、撤回を強く望む」と訴えた。
 核共有は、米国の核兵器を同盟国に配備し戦闘機などで共同運用する政策で、北大西洋条約機構(NATO)が導入。抗議文は「日本では自衛隊航空機に核兵器が搭載されることになり、国内の自衛隊基地が攻撃対象になる」と懸念。戦争被爆国である日本が核共有をすれば「国際的評判は著しく下がり、『核を廃絶する目標』は遠のく」と訴えた。
 抗議文は安倍氏と、日本維新の会の松井一郎代表、馬場伸幸共同代表宛てに送付。同会事務局長で被爆者の森口貢さん(85)は「核兵器は人道的見地から見て許されない兵器。核抑止力などの議論もあるが、『必要悪』ではなく『絶対悪』だ」と語った。


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