白球で結ばれた兄弟が、王座奪還の鍵を握る。独立リーグ、ルートインBCリーグ神奈川で、今秋のドラフト候補にも浮上する石井翔(24)と涼(22)。性格も投球スタイルも対照的な両右腕だが、思いは一つだ。9日のリーグ開幕戦に向け「(NPBから)同時指名がもらえるように頑張りたい」と声をそろえる。
長男の翔は加入1年目の昨季、主に救援として28試合に登板。2年目の今季、富士大を卒業した次男の涼が加入し、投手陣は厚みを増した。
3月10日の全体練習初日では、互いのフォームやボールの質を助言し合っていた。「今年はコントロールを意識していて、弟にはツーシームの制球のイメージを聞いた」と兄が言えば、涼は「大学でも兄とは意見交換していて、遠慮せず言えるのが大きい」と頼もしげに語る。
兄はサイドハンドから150キロに迫る直球と切れ味抜群のスライダーで勝負するリリーバー。対して弟は190センチの長身から変化球を丁寧に投げ下ろすクレバーな先発タイプだ。投球スタイルは異なるが、歩んできた道は重なっている。
2歳離れた兄を追い、涼が野球を始めたのは小学1年生の頃。以来、地元の横浜市栄区と戸塚区の境を流れる柏尾川の川岸でトレーニングを積むのが2人の日課だった。三浦学苑高ではいずれも県内屈指の好右腕として飛躍。「野球選手として自分を高めてくれるのは兄だけだった」。昨年、進路に悩む涼の背中を押したのも兄だった。
チームは9日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかで埼玉との開幕戦を迎える。「プロを目指すなら25歳の年がラスト。多くの試合で投げてアピールしたい」と翔。弟は「同じチームで二人でプロを目指せる機会はめったにない。兄弟リレーで勝てる試合を増やしたい」と意気込んだ。