長崎IRの資金調達 世界最大手不動産が支援 最終計画案

 長崎県が佐世保市のハウステンボス(HTB)への誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、同市は12日、県がまとめたIR区域整備計画の最終案を明らかにした。資金調達は、事業用不動産サービスで世界最大手のCBRE(米国)が支援するとしたが、融資する金融機関や出資する企業名は明記しなかった。
 大石賢吾知事が11日付で朝長則男市長に最終案への同意を依頼する文書を送付。これを受けて市は12日、市議会に最終案を説明した。14、15両日に開く市議会臨時会に同意議案を提出し、議決を得た上で県に回答する。
 最終案によると、資金調達の総額は約4383億円。このうち、国内外の金融機関からの借入金などが約2630億円、企業などの出資金が約1753億円と想定している。
 CBREは大型不動産開発やカジノ業界の投資銀行業務で実績がある。2027年秋ごろのIR開業に向け、国内外の企業や金融機関からの資金調達を支援する。
 融資や出資する企業名は公表していないが、外資系や大手国内企業などから資金調達の総額以上のコミットメントレター(融資・出資の意思表明書)などを取得しているとした。関係者によると、総額は約4700億円に上るという。
 最終案について説明を受けた市議からは具体的な企業名が示されなかったため、IRの実現性を不安視する声も出た。
 県はIR設置運営事業予定者の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)と共同で計画案を作成。3月に計画案を一度公表したが、資金調達などが未確定で修正を続けていた。
 県は市の同意と、県議会の議決を得た上で28日までに国へ区域整備計画の認定を申請する。
 IR誘致は、大阪府・市と和歌山県も表明。国は最大3カ所を認定する。


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