星野リゾート「界 雲仙」 11月25日開業へ 長崎県内初進出

大浴場のイメージ。ステンドグラス越しに、色とりどりの光が湯面に映り込む(星野リゾート提供)

 国内外で宿泊施設を展開する星野リゾート(長野県)は13日、長崎県雲仙市の雲仙温泉街で建設を進めている温泉旅館について、「界(かい) 雲仙」として11月25日にオープンすると明らかにした。同社は本県初進出で、施設は6階建て51室。定例記者会見を開いた星野佳路社長は「有名温泉地の雲仙での開業は界ブランド全体の充実度を高める。雲仙地獄の特徴を表現できる施設にしたい」と期待を込めた。
 同社は、ラグジュアリーリゾート「星のや」や、上質な温泉旅館「界」など五つのブランドを軸に国内外で56施設を運営している。
 「界 雲仙」は22軒目の界ブランド施設。2020年8月、雲仙地獄の一つ「八万地獄」に近接する雲仙富貴屋跡地で着工した。海外との歴史的なつながりが深い本県の地域性を踏まえ、施設内に「和、華、蘭」の要素を盛り込む。大浴場の壁にはステンドグラスを配し、湯面に色とりどりの光が映り込むという。

11月開業に向け建設が進む温泉旅館「界 雲仙」=雲仙市小浜町雲仙

 全客室から八万地獄を望む設計で、宿泊客が景観を楽しめる構想だったが、昨年8月の大雨で崩れた裏山の土砂が八万地獄を覆い、建設現場にも流入した。現在、県などが災害対策工事の方法を検討している。
 星野社長は「災害は本当に大変だったが、復興に向けて地元と議論する機会を頂いている」と現状を説明。「地獄と(地獄から宿泊施設に給湯する)燗(かん)つけの仕組みなど、雲仙地獄の大きな特徴を顧客にどう表現できるのかを地元と一緒に考えていきたい」と述べた。


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