共有口座を作って家計管理を効率化したい30代共働き夫婦。上手な運用方法や注意点は?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、2歳のお子さんをもつ30代共働き夫婦。これまでは夫婦共有の口座を持っていませんでしたが、口座を新たに作って家計管理を効率化したく、運用方法を知りたいと言います。運用のコツや注意点は? FPの秋山芳生氏がお答えします。


2歳の子供がいる共働き夫婦です。

そろそろ夫婦の共有口座を作り、家計管理を効率化したいと思っています。しかし、初めてのことなので、どのように管理すればよいのかわかりません。コツや気をつけることなどを教えてください。

私は公務員で、育児のため時短勤務中。月収は手取りで17万円程度です(時短分で3万円ほど減収している)。夫も公務員で、月収は手取り25万円程度です。

よろしくお願いします。

【相談者プロフィール】

・女性、29歳、公務員

・夫:30歳、公務員 ・子ども:2歳

・住居の形態:賃貸(北海道)

・毎月の世帯の手取り金額:約42万円(妻約17万円、夫約25万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:90万円

・毎月の世帯の支出の目安:27万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:7万5,000円

・食費:8万円

・水道光熱費:3万円

・教育費:3万5,000円

・保険料:0円

・通信費:4,000円

・車両費:5,000円

・お小遣い:4万円

【毎月の支出の内訳】

・毎月の貯蓄額:5万5,000円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):450万円

・現在の投資総額:80万円

・現在の負債総額:0円

秋山:ご相談いただきありがとうございます。ファイナンシャルプランナー兼FP YouTuberの秋山芳生です。共働き夫婦でどのように口座を作り家計を管理すればよいかというご相談ですね。

1990年代後半から片働き世帯よりも夫婦共働きの世帯の方が多くなり、現在では共働き世帯は、片働き世帯の倍以上と言われています。それぞれに収入があると、結婚してからも夫婦別会計になりがちです。一方で夫婦の収支や資産を合算して把握できていると、将来の設計も立てやすくなり、力強い家計になります。

今回は、まず家計全体の改善ポイントを整理してから、夫婦でどのように家計を管理すればよいかを考えていきたいと思います。

家計の改善ポイントは?

まず家計の状況ですが、ご夫婦共に公務員で42万円(夫25万円・妻17万円)の手取り収入があります。支出は27万円となり、毎月の貯蓄は5万5,000円と記載いただいていますから、9万5,000円ほど使途不明金があると思われます。

●食費:8万円→5〜6万円
食費がご家族3人で8万円とのことですが、少し高めと言えます。共働きでお子さんを育てる場合はどうしても妻に家事の負担が重くなりがちです。そうなると食事もお惣菜・外食などが多くなりますよね。ここはご夫婦で力を合わせて家事を分担し、自炊の頻度を上げることで改善できると思います。また、食費に日用品やお子さんのオムツ代なども含まれる場合は、できる限り何に使っているか費目を詳細にわけると改善ポイントが見えてくるでしょう。

●水道光熱費:3万円→2万円
家族3人の水道光熱費としては少し高いといえるでしょう。電気代・ガス代は外部環境によって現在値上がりしていますが、電力自由化から買うところを選ぶこともできます。ネット上から簡単に切り替えができるので、運営母体が大きく安いところを探してみるとよいでしょう。また蛍光灯をLED電球に変えることや、節水シャワーヘッドなども一定の節約効果があるので試してみてはいかがでしょうか。

●教育費:3万5,000円
こちらは、お子さんの保育園代だと思います。地域や年収によって保育料は異なりますので、この費用が高いか安いかはわかりません。お子さんにかかる費用の中で、保育園の写真を大量に購入して家計を圧迫している人もいます。お子さんの可愛さにお金を払いすぎないことも大事です。一方、3歳児の年次になると保育の無償化の対象になるので、この分は少し浮いてくると思われます。

●保険:0円→5,000円
現在はまったく保険に入っていない状態です。医療保険や貯蓄保険に入る必要はありませんが、万が一のことがあるとお子さんの生活や進路に影響が出る可能性があります。収入保障保険など、効率的な保険も多くでているので、相見積もりをとって比較しながら考えてみるとよいでしょう。

●お小遣い:4万円と使途不明金:9万5,000円
お小遣いは4万円と決めていらっしゃると思いますが、そのほかに使途不明金がかなりありそうです。交際費、趣味娯楽、衣服美容、お子さんに係る費用や、家具家電、冠婚葬祭、旅行なども、自動家計簿アプリなどを活用すれば簡単に把握できるようになると思います。残念ながら家計の把握状態は甘い状態だと言えますので、使途不明金を洗い出せるようになるでしょう。家計の把握が甘いと、将来の計画が立てづらくなります。

共有口座はネット銀行がおすすめ

さて本題の夫婦の口座管理と、家計管理について考えていきたいと思います。口座は合同名義で作ることはできません。ですから、どちらか一人の名義で口座を作ることになります。ネット銀行は開設も早く、WEB明細から管理がしやすいのでおすすめです。夫婦名義の口座を持つことはできませんが、その内容を夫婦で把握できれば問題ないことになります。

夫婦別家計を会社に例えるなら、社長と副社長それぞれの事業を行なっているが、売上やコストを報告しあわず、会社全体として収支や資産を把握できていない状態と同じです。これでは将来の成長を期待することは難しくなります。

家族でマネー会議を開く

そこで、夫婦で月に一回はお金について話す機会をつくることをおすすめします。

家計は給料日を起算日にして1か月分をカウントすると整理がしやすくなります。給料日を過ぎて、先月分の支出が把握できたら、ご夫婦で支出状況を確認するとよいでしょう。カードでの買い物が明細として反映されるまでに1週間程かかることもありますので、給料日がすぎて1週間ほどで締めてから報告し合うとよいと思います。

お互いがそれぞれに家計簿をつけて、収支を報告しあうことで、一家としてひと月にいくら資産が増えたかがわかると思います。もちろん、夫婦と言えどプライバシーはありますので、お小遣いにまとめていることなどは詳細を話す必要はありません。また、相手の支出のダメ出しをするのはやめましょう。険悪になりかねない上に、すでに支払っている支出は戻ってこないからです。「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。」という言葉もあります。相手の過去の支出を責めるのではなく、自分の支出と向き合いながら未来に向けた計画を立てるとよいと思います。

お子さんの進路、住宅、老後についても一緒に考えると、未来を築いていくパートナーとしての絆が強くなると思います。相手の収支を気にするのではなく、夫婦の合計を確認することで、ご夫婦で未来を築くきっかけにしていただければと思います。

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