原爆死没者名簿に「風通し」 18万9245人記名 長崎・追悼平和祈念館

原爆死没者名簿の風通しをする職員=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 長崎市は18日、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(平野町)に納められている原爆死没者名簿194冊を外気に当てる「風通し」をした。昨年から3188人(3冊分)増え、計18万9245人の名前が記されている。職員10人が一冊一冊に向き合い、死没者の人生に思いをはせながら紙を繰った。
 湿気を取り除き、傷みがないか確認するため、例年この時期に実施している。1968年に作成を始め、昨年7月までに亡くなった被爆者らの名前や死亡年月日を記載。国の指定地域外で原爆に遭った「被爆体験者」は2018年から載せており、計309人が含まれる。原爆投下直後に死亡した身元不明者を弔うため1冊は空白にしている。
 職員は同館交流ラウンジに全冊を並べ、長崎原爆がさく裂した時刻の午前11時2分に黙とう。開け放した窓から、柔らかな風が時折吹き込む中、蛇腹折りになった名簿のページを丁寧にめくった。
 初めて携わった平和推進課の橋村拓磨さん(27)は「名簿に0歳や1歳の名前もあり、核兵器の悲惨さを感じた」。本年度から、全国の親子に長崎の被爆者らを取材してもらう事業などを担当し「二度と同じことがないよう、戦争や核の恐ろしさを伝えていく」と決意していた。
 昨年8月以降の死没者は6月から記入を始め、今年の平和祈念式典で奉安する。


© 株式会社長崎新聞社