江戸時代初期、徳川家康の外交顧問として仕え、平戸で生涯を終えた英国人ウィリアム・アダムス(日本名・三浦按針(あんじん))を追悼する按針忌が28日、長崎県平戸市大久保町の崎方公園で営まれた。参列した約80人は平戸と海外との交流の礎を築いた功績に思いをはせた。
同市の市民団体「国際交流HIRAの会」(井上隆会長)が主催。1995年から按針の命日に近い5月下旬に毎年開き27回目。
按針は1600年、オランダ船リーフデ号で現在の大分県臼杵市付近に到着。家康が造船、航海などの技術、知識を評価して重用し、オランダ、英国の商館が平戸に開設された際に活躍。20年5月26日、平戸で病死した。
参列者は平戸港を望む丘に立つ墓碑の前で黙とうした後、井上会長が「優秀な航海士、仲介役だったアダムス。按針忌を通じて、多くの善意ある人々との出会いへと導いてくれている。恵まれた縁を大切にして、ささやかな式典を続けていきたい」とあいさつした。
黒田成彦市長は「按針が商館設置に尽力した功績を後世に伝え、内外に発信したい」と述べた。マーク・カウパース在大阪オランダ総領事、英国・大英図書館のマーガレット・メイクピース博士らのメッセージも代読された。
松浦家第41代当主で、茶道鎮信流宗家の松浦章さんが抹茶をたてた後、参列者が「ウィリアムアダムス」と名付けられたバラなどを祭壇に供えた。
この後、同会はオランダ人慰霊碑献花式を崎方町のオランダ公園で行った。日蘭交流400周年を記念して建立された慰霊碑の前に、約40人がバラをささげ、日蘭友好を支えた先人をしのんだ。