晴れ舞台

 あ、「蝶々夫人」だ。ん、ここは「長崎の鐘」-。久しぶりに聞いてしみじみ思う。名曲だ。長崎ゆかりのメロディーがあちこちに登場する「長崎県スポーツ行進曲」は、1969年の1巡目長崎国体を記念して作られた曲▲金曜日はよく晴れた。初夏の日差しを浴びながら高校生たちの行進が続く。真っすぐに前を見据えて元気よく手を振る学校があれば、少し照れくさそうに隣のチームメートと笑い交わす生徒も…。行進にも個性や表情が▲一昨日の県高総体開会式をテレビで眺めながら改めて考えた。大会は“高校スポーツの祭典”だが、関係する全ての生徒の晴れ舞台でもある。吹奏楽部も、バトントワラーも、放送部員も生徒会役員も▲どの学年も新型コロナウイルスとの並走を強いられてきた。強くなりたいけれど、練習の休みは飛び上がるほどうれしい…そんな永遠の“部活あるある”もここ2年は様変わりしているようだ、と少し前に運動部の同僚が教えてくれた▲昨日から競技が始まった。最後まで力の限り-。コロナに邪魔されながら、それでも懸命に積み重ねてきた全てを悔いなく発揮できているといい▲昨日の新聞には出生率低下の記事があった。15年先のこの大会は…と、ちらりと考えたが、取りあえず心配事は後回しにしようと決めた。(智)

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