核禁会議21日開幕 被爆者らウィーンへ 核廃絶への思い伝える

核兵器廃絶を長年訴える長崎の被爆者ら。市民団体も交えた新団体「核兵器禁止条約の会・長崎」は結成集会で、日本を含む世界各国に条約参加を呼びかけるアピールを採択した=5月28日、長崎市岡町の長崎原爆被災者協議会

 核兵器禁止条約第1回締約国会議の開幕が21日に迫った。オーストリア・ウィーンに各国代表者らが集い、「核なき世界の実現」に向けた具体的な議論を始動させる。唯一の戦争被爆国である日本からも被爆者や非政府組織(NGO)の関係者50人以上が現地入りを計画。被爆の実相や核兵器廃絶への思いを伝えるため準備を進めている。
 昨年1月の同条約発効後も、核保有国と核軍縮を求める非保有国の溝は埋まらず、米国の「核の傘」に頼る日本も条約に参加していない。実効性の確保が課題となる中、核大国ロシアが今年2月、ウクライナに侵攻。核使用リスクが現実味を帯びる中で迎える初の締約国会議となる。被爆地が訴えてきた核兵器の非人道性を焦点に「核兵器は絶対に使用してはならない」との強いメッセージを発信する場となりそうだ。
 締約国会議は21日から3日間。18、19日にNGO核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の「市民社会フォーラム」が開かれ、20日の「核兵器の非人道性に関する国際会議」には日本政府も参加する。
 日本国内からは15以上の団体が代表を派遣。長崎原爆の被爆者は、県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(79)や日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の木戸季市事務局長(82)らが渡航し、田上富久長崎市長や昨年の高校生平和大使、神浦はるさん(17)、被爆2世らも現地へ向かう。
 朝長氏は「核保有国や『核の傘』の下にある国を条約に参加させるために被爆者の声が必要。核保有国も『核なき世界を目指す』と約束している。どう実現するかを問いたい」と意気込みを語る。


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