20日の「非人道会議」で被爆証言調整 被団協事務局長 国連次長にも面会

総会終了後に記者会見に臨む箕牧新代表委員(右)ら被団協の役員=東京都千代田区、ホテルジュラク

 オーストリア・ウィーンで21日開幕する核兵器禁止条約第1回締約国会議に参加する日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の木戸季市事務局長(82)は9日、20日に現地で開催される「核兵器の非人道性に関する国際会議」にも出席し、自身の被爆体験を証言する方向で調整が進んでいると明らかにした。
 国際会議はオーストリア政府が主催。長崎で被爆した木戸氏は、県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(79)と共に政府代表団の一員として出席する。被団協は締約国会議と国際会議で被爆証言の機会を設けるよう、同国政府に要請していた。締約国会議で発言の機会があるかは未定。
 木戸氏は9日、東京都内で記者会見し、「原爆が人間に何をもたらしたのか若い人に事実を伝えたい」と語った。20日は国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長と面会する予定もあるという。
 被団協は9日の総会で、昨年10月に96歳で亡くなった代表委員、坪井直さんの後任に広島県原爆被害者団体協議会の箕牧智之理事長(80)を選出。田中熙巳氏(90)、田中重光氏(81)の代表委員2人は留任。箕牧氏は「坪井さんがやってきたことを継承していきたい」と述べた。
 総会は、ロシアのウクライナ侵攻を背景に日本国内でも「核共有」論が公然と語られる現状を「被爆者運動を水泡に帰し国民の願いを踏みにじる」と批判し、日本政府が締約国会議へのオブザーバー参加や同条約を批准することで「世界のリーダーの役割を果たすことを願う」とする特別決議を採択し閉会した。


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