故渡辺千恵子さんの半生描く 合唱組曲「平和の旅へ」DVD ウィーンで配布へ

DVDを制作した「平和の旅へ」合唱団の佐藤団長(右から2人目)ら=長崎市役所

 長崎原爆で下半身不随となり、車いすで核兵器廃絶を訴えた故渡辺千恵子さん(1993年に64歳で死去)の思いをオーストリア・ウィーン、そして世界へ-。長崎市民らでつくる「平和の旅へ」合唱団は、21日開幕する核兵器禁止条約第1回締約国会議に向け、渡辺さんの半生を描いた合唱組曲「平和の旅へ」の演奏を収めた英語版DVD100枚を制作した。現地に向かう長崎市の非政府組織(NGO)を通じ配布する予定。
 約50人が所属する同合唱団は2020年4月に開催予定だった核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、米ニューヨークの国連本部で合唱を計画。だがコロナ禍で会議が延期となり断念し、その後も演奏活動が難しい状況が続く。
 「渡辺さんの思いや長崎から核廃絶の願いを届けたい」と同年夏ごろからDVDの制作を準備。過去の演奏をベースに原爆関連や渡辺さんの写真などを交え、約30分の映像にまとめた。日本語版と英語版を作り、14日に動画投稿サイトでも公開した。
 DVDは、NGO核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会(朝長万左男委員長)の代表団に預け、現地で配布してもらう。
 15日、市役所で記者会見した佐藤由美子団長(71)は「(ロシアのウクライナ侵攻を巡り)核の威嚇や核共有の発言が出てくる。まだまだ被爆の実相が知られていない。被爆者が高齢化する中、私たちが世界に発信しなければ」と語った。 


 

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