故山口仙二さん「栄誉市民」に 核廃絶運動をけん引 長崎市

故山口仙二氏

 長崎市は17日、長崎原爆で被爆し、戦後の被爆者援護や核兵器廃絶運動をけん引した山口仙二氏(2013年に82歳で死去)に「栄誉市民」の称号を贈ると発表した。
 山口氏は14歳の時、爆心地から1.1キロで被爆。顔や上半身が焼けただれ、貧困の中でさまざまな後遺症に苦しんだ。被爆者運動に草創期から携わり、1955年に長崎原爆青年の会(後の長崎原爆青年乙女の会)、56年には長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の結成に尽力。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員なども務めた。
 82年、米国で第2回国連軍縮特別総会に参加。自身のケロイドの写真を掲げ「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ」と、核廃絶と不戦を世界に訴えた。長崎市の平和・被爆者援護行政にも長年貢献した。
 市は山口氏が亡くなった2013年に栄誉市民の称号を贈る方針を固めたが、遺族側が一度辞退。昨年末に遺族から「功績を後世に少しでも残せれば」と受ける意向が示され、市は贈与を決めた。田上富久市長は17日の市議会各派代表者会議で報告し「全世界が核廃絶に向けて動き出す大きなきっかけとなった」とたたえた。顕彰式の日程は今後、遺族と相談して決める。
 栄誉市民の称号は公共の福祉の増進や産業、経済、文化の発展などに顕著な功績がある人らに贈り、山口氏は13人目。17年には山口氏と共に活動した被爆者の故谷口稜曄(すみてる)氏にも贈られている。


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