浦上川の清掃100回突破 長崎の環境ボランティア「学ぼうかい」 学生と社会人、地域の姿見つめる

浦上川に落ちているごみを拾う参加者=長崎市大橋町

 長崎市の環境ボランティア団体「川に学ぼうかいin浦上川(大橋地区)」(略称川まな、宇土和彰代表)の清掃活動が、2005年のスタート以来、100回を超えた。学生と社会人がつながりながら、川を通し地域の姿を見つめる。
 4日、同市大橋町の浦上川岸に約50人が集まった。この日は「長崎大水害40年☆浦上川クリーン活動」と銘打った102回目の清掃。古参の社会人メンバーが、1982年7月の長崎大水害について「川があふれ、道路が最大1.5メートル水没した。ここが被災地の川底だということを頭に入れてください」と説明。全員で犠牲者に黙とうした。
 目立つのは若い世代だ。同日の参加者のうち、約40人は長崎大の環境サークル「エコマジック」「ながさき海援隊」のメンバー。軍手や長靴姿で草むらをかき分け、ごみを拾う。約1時間の活動を終えると、輪になって「吸い殻が多かった」「小さなごみが目立った」などと語り合った。
 川まなは浦上川近くの土木技術者や長崎大教員らが始めた。2カ月に1回程度、清掃や生き物観察のほか、時期に応じ、同川にまつわる出来事を振り返る。3月は、江戸初期の浦上村の隠れキリシタン組織がシロウオ漁をきっかけに作られたという伝承にちなみ、シロウオを探した。8月は長崎原爆に触れる。

清掃終了後、一人一人が感想を書いた付箋。参加者で共有する

 「地域についてよく知ることができるのがいい」と、福岡県出身で同大環境科学部3年の黒川武弘さん(20)。海援隊メンバーとして海ごみを清掃しているが「川ごみを減らさなければ海ごみは減らせない」と川まなに参加。「社会人が優しく、いい雰囲気を作ってくれる」と話す。
 社会人メンバーは約30人。50代前後が中核を担い、学生が心地よく参加できるよう気を配る。ニックネームで呼び合い、終了後の感想は付箋で共有。「ひえちゃん」と呼ばれる事務局長の稗圃健史(ひえはたたけふみ)さん(55)は「コロナ前は毎回交流会を開いていた。そろそろ再開したい」と話す。参加者のフラットな関係性が、長続きする活動を支えている。

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