核の非人道性会議 被団協の木戸さん「核兵器は絶対悪」 被爆3世もスピーチ

写真左から 「二度と過ちを繰り返さないことは私たちにかかっている」とスピーチする中村さん、「核兵器は非人道的絶対悪だ」と力強く語る木戸さん=ウィーン

 オーストリアのウィーンで20日、「核兵器の非人道性に関する国際会議」が開かれ、長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)事務局長、木戸季市(すえいち)さん(82)が「核兵器は非人道的絶対悪」と核廃絶を訴えた。長崎市出身の被爆3世、中村涼香さん(22)=上智大3年=も登壇し「二度と過ちを繰り返さないことは私たちにかかっている」とスピーチした。
 木戸さんは5歳の時に被爆。多くの遺体や水を求めて亡くなった人を目にし「このような死が人間の死として認められるか。絶対に許せない」と感情を込めながら被爆体験を証言した。核兵器禁止条約を「被爆者の願いそのもの」と表現。21日開幕する初の締約国会議の成功を願った。
 中村さんは、首都圏を中心に核兵器廃絶を目指し活動する若者団体「KNOW NUKES TOKYO(ノー・ニュークス・トーキョー)」の共同代表で、元高校生平和大使。長崎原爆の被爆者、福島富子さん(77)=神奈川県=から託された振り袖に「和 Peace」と刺しゅうされた帯を締めて臨んだ。
 祖母が長崎で被爆。スピーチで「私も将来、原爆の影響を受けるかもしれない」「被爆2世、3世にどのような影響を与えるか分からないから怖い」と不安を口にした。日本政府の締約国会議オブザーバー不参加について「残念に思う」と述べると会場から拍手が送られ、「日本が積極的に核軍縮に取り組むことができるよう、政府と市民が力を合わせて取り組む」と決意を語った。
 バチカン市国の代表団に所属するステファノ・サルディさん(34)はスピーチを携帯電話で録画しながら聞き、「とても力強く、胸に迫るものがあった。原爆という同じ過ちを繰り返してはならない」と話した。
 非人道性会議は、2013年のノルウェー・オスロでの第1回以降、これまで3回開催。市民団体や国連などが主導し、禁止条約の原動力となった。日本政府はいずれも出席し、今回、田上富久長崎市長や松井一実広島市長らも参加。核使用や核実験が人や環境に与える中長期的被害などについて各国の専門家が最新の研究に基づき議論した。


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