「黒い雨」新基準 被爆体験者の救済要望 厚労省は難色 原援協

被爆体験者も新基準の対象とするよう宮崎審議官(右)に要望する武田会長(右から2人目)と武次副会長(同3人目)ら=厚労省

 長崎市と市議会でつくる長崎原子爆弾被爆者援護強化対策協議会(原援協)は20日、広島原爆の「黒い雨」被害の救済に向けた被爆者認定の新基準について、長崎原爆に遭った「被爆体験者」も対象に加えるよう厚生労働省に要望した。
 協議は非公開。厚労省側は、被爆体験者が過去2度、被爆者健康手帳の交付を求めて最高裁まで争い、敗訴した経緯などに言及し、これまで通り被爆者認定には難色を示したという。
 原援協の武田敏明会長(副市長)や武次良治副会長(副議長)らが厚労省を訪れ、宮崎敦文大臣官房審議官に要望書を手渡した。
 関係者によると、「黒い雨」新基準で被爆体験者が対象外となっている現状について市側は「高齢化する被爆体験者を救済するため踏み込んだ方策を講じてほしい」などと要望。厚労省側は難色を示す一方、過去の裁判例との整合性など検証作業を進め、県や市と引き続き協議を続ける方針を伝えた。
 武田会長は「前向きな回答が得られず残念。県市と引き続き打ち合わせをしていくということなので今後に期待したい」と話した。


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