物価高・改憲・コロナ…課題山積み 長崎県内有権者の声「判断材料示して」 2022参院選長崎

 22日公示された参院選では物価高や安全保障など、さまざまなテーマで論戦が交わされる。それを見詰める長崎県内の有権者に思いや意見を聞いた。

  物価高 

 「牛乳や食用油など生活に欠かせない商品の値上げはこたえる」。平戸市田平町の団体職員、木村なつみさん(43)は消費者の立場から、こう嘆く。政府は21日、ロシアのウクライナ侵攻を受けた物価上昇への対策を模索する「物価・賃金・生活総合対策本部」の初会合を開いたが、木村さんは「政策が後手後手になっている感じが強い」と不満を漏らした。
 南島原市北有馬町で食料品店を営む林田実恵治さん(66)は、仕入れ値の上昇に伴う商品の値上げ幅について「全体的に約3割」と説明し「お客さんは年金生活者も多い。これ以上物価高が続くと家計に響くのではないか」と気がかり。「恵まれた出自の国会議員には、一般庶民の生活の苦しさなんて分からないだろう」と冷めた視線を送る。

  国防・憲法改正 

 ウクライナ情勢を背景に国防や安保政策への関心が高まっている。佐世保市の自営業、吉賀和也さん(52)は「日米安保があるとはいえ、(有事に)米国が日本も守ってくれるとは限らない」と指摘。「外交で平和を保つのが最優先だが、現実問題として後ろ盾(軍事力)は必要だろう」と防衛費増額に理解を示す。
 さらに、松浦市御厨町の特別養護老人ホーム施設長、朝永春郎さん(69)は、憲法改正の論議につながるとみる。「刻々と変わる国際情勢の中、改憲を訴える人たちの声も大きくなってくる。私たちが判断できる材料や情報を示すべき」と注文した。
 一方、長崎大2年の宮崎優依さん(19)は、米国との「核共有」論が国内で浮上している現状を「根本的な部分を変えてしまってはまずい。核兵器を持たないことが大切」と懸念し、憲法改正の議論を見守る。

  コロナ 

 新型コロナウイルス感染は収束しておらず、引き続き政治の対応が求められている。諫早市幸町の保育所に勤める主任保育士、下坂麻美さん(40)は「少し前に『1~2歳児にもマスクを』という声が上がり、(政治家が保育)現場のことを何も分かっていないと感じた」と振り返る。その上で候補者に「現場の声を国に届け、保育園の環境や保育士の待遇の改善に努めて」と望む。
 西海市西海町の会社社長、山﨑秀平さん(43)はコロナ禍で雇用維持に苦労した経験を踏まえ、「コロナと上手に付き合うフェーズとなった中、経済を回していくには生活の足固めとなるものが必要。国民全般に行き渡る支援を」と求める。

  離島振興 

 離島振興法は来年3月末に期限を迎えるが、10年延長する改正案を巡る与野党の議論がまとまっていない。新上五島町青方郷の居酒屋「優心」店主、前田泰博さん(32)はその行方を注視し「交流人口の増加につなげてほしい。島のことをしっかり考え行動してくれる人を選びたい」と語った。


© 株式会社長崎新聞社