カタールで勇姿を

 サッカーで最後方を守るセンターバックとは割に合わないポジションではないか。ほぼ完璧に守っていても、一つのミスが失点に直結し、批判が集中しやすいからだ▲日本代表が0-3でチュニジアに完敗した今月のキリン杯。長崎市出身の吉田麻也選手が相手を倒しPKを与えるなど全ての失点に絡んだ。代表で長く守備の要として活躍する吉田選手も33歳。過密日程4連戦の最終戦とあっては動きが鈍くなるのも無理はない▲吉田選手は試合後「自分のポジションが危うい」と口にした。若手の成長もあり強い危機感を抱いているようだ▲だが、このまま引き下がる吉田選手ではないだろう。21歳の若さで世界へ飛び出し、オランダを皮切りに世界最高峰のイングランドや守備重視のイタリアのリーグに挑み、レギュラーを勝ち取ってきた。度重なるけがも克服した。前向きでタフな精神力の持ち主だ▲日本は11月のワールドカップ(W杯)カタール大会で初の8強進出を目標とする。実現にはベテランの豊富な経験とリーダーシップが不可欠なはず。同郷の森保一監督の信頼も厚い▲センターバックは地味ではあるが、体を張って相手に立ち向かうプレーは見る者に勇気を与えてくれる。長崎が生んだ世界に通用するセンターバックの勇姿をぜひ、W杯で見たい。(潤)

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