大原美術館の軌跡伝える特別展 美観地区の交流施設でスタート

大原美術館で開催された「ブラック展」のチケットや図録(手前)

 大原美術館(倉敷市中央)の設立と発展をテーマにした特別展「大原家と大原美術館展」が12日、美観地区にある交流施設「語らい座大原本邸」(同所)で始まった。31日まで。

 年4回催す特別展の一環。高梁市出身の洋画家児島虎次郎(1881~1929年)の死を悼んだ実業家大原孫三郎(1880~1943年)が、西洋絵画中心で国内初の私立美術館を開設した歴史や、孫三郎の長男總一郎(09~68年)が新館(現分館)や工芸館を新設した軌跡を伝える史料19点を展示している。

 東京美術学校(現東京芸大)に入学した虎次郎が、大原家の奨学金制度に応募した記録「貸資生出願書類綴(つづり)」(02年)や、大原美術館を設計する際の配置を示した青焼図面(29年)、總一郎が招致したキュビズムの大家ブラックの巡回展(52年)を開く際に制作されたチケットや図録も初公開している。

 同館の水島博学芸員は「美術館ができる礎となった虎次郎と孫三郎の人間関係や、美術館を拡充した總一郎の業績を多くの人に伝えたい」と話している。

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