強豪・中央学院 マネージャーも最後の夏「120のお守りを」/高校野球千葉大会

強豪・中央学院 マネージャー最後の夏 手作りお守り120個/高校野球千葉大会

 7月14日、県総合SC野球場で行われた東葉 対 中央学院(Bシード)の試合。

 青いメガホン両手にスタンドから見守るのは、3年生のマネージャー・藤川 千太郎さんと原 彩羽さんの2人だ。

藤川 千太郎さん

「野球がすごく好きなんです。小学校の時にテレビで甲子園をみて、中学でも甲子園や地方大会を見に行っていました。自分はやっていないので、何か野球に関わることがしたいと思ってマネージャーになることを決めました」

 そんな藤川さんは県内でも珍しいという男子マネージャー。

 中学の時には陸上部で200mと400mをやっていたというが、高校入学を機に、大好きな“野球”に関わることを決めた。 

 ちなみにどのくらい野球が好きかというと…、中学生の頃から集めた野球チップスの付属カードは800枚に上るほどだ。

藤川 千太郎さん

「選手がケガをしてマネージャーになるパターンはよく聞きますが、入部当初からマネージャーは珍しいと思います。我孫子二階堂高校にも1人男子マネージャーがいますが、それくらいしか聞いたことがないですね」

 一方、原さんがマネージャーになったのは、8歳上の兄がやっていた野球の試合を見に行った際、マネージャーさんの存在を知ったことだという。 

 小学校からマネージャーになることを夢見ていた。中学生時代にはソフトボールに明け暮れていたため、選手側の気持ちもわかるという。

 きっかけは違えど、“強い気持ち”をもってマネージャーになることを決めた2人。

 今大会にかける思いも強く、2人が形に残した“お守り”を見せてくれた。

 なんと、製作期間は4か月。

 野球部員や3年生の保護者などの分、約120個を2人で制作したという。

藤川 千太郎さん

「裁縫は苦手なんですけど、みんなに甲子園に連れて行ってほしいという思いを込めて一生懸命つくりました」

原 彩羽さん

「めっちゃ大変だったけど絶対喜んでくれると思って…作るの楽しかったです!」

 2人がこだわったのは、だるまの“顔”。 

 3年生27人の分は、その人の特徴をだるまの顔に反映させたという。例えば、色が黒い人には黒い顔、眉毛が太い人には眉毛を太く、可愛い顔の人には笑顔にする…などだ。

 部員は寮生活のため、全員が揃う食事の時間に1人1人に手渡しをしたところ、選手たちは、「似てる!!」と盛り上がって喜んでくれたそうだ。

■仲良し=信頼の証 

 今は1年生が3人入り立派な先輩となっているマネージャー2人だが、2021年、先輩の引退後はたったの2人で部員を支え、大変な時を乗り越えてきた。

 お互いの良いところを聞くと…

藤川 千太郎さん

「絶対的な信頼感がある。結構頼ってしまう部分も多いが、頼っても大丈夫だという信頼感があります」

原 彩羽さん

「オンとオフの切り替えがすごいです。2人でわちゃわちゃ喋っていても、指導者に呼ばれるとサッとスイッチが入る。私は切り替えが苦手なので凄いなと思います」

 信頼し合う、良い関係性が空気感から伝わった。 

 そんな2人の共通点は、“人のために行動する”ことが好きだという点。将来の夢を聞いた。

藤川 千太郎さん

「海外の人とかに日本の文化を教える、日本語教師になりたいです。日本で働きたい人や日本のことを知りたいという人に、教えることが出来たらいいなと思います」

原 彩羽さん

「ネイリストになりたいです」

藤川 千太郎さん

「自分が何かをすることによって、ひとりでも多くの人が嬉しい思いをしてくれるといいなと思うんです。マネージャーを通して3年間やってきたこともきちんと将来に活かせたらいいなと思うので、もっと自分も成長して、どんどん人のために何かしたいなって思っています」

 


 ちなみに…、仲が良いのは、マネージャーだけではない。

 マネージャーから見ても、3年生27人、全員が“本当に仲良し”だという。

原 彩羽さん

「どんなペアでも仲良いし、集まったときも全員でずっと話しています」

藤川 千太郎さん

「その分信頼関係があるので、プレーにも活きていると思います」

 スタンドで応援していた3年生の親に話を聞いた時も、「3年間ひとりも欠けることなく、27人できた。全員仲が良い。本当に仲良しでオフの日も帰ってこないのはきっとみんなが仲が良いからですよ」と笑いながら仲の良さを語っていたくらいだ。

 壮行会のときには、「背番号をつけていない人の分まで頑張る」という熱い言葉もあったという。

■順調に… 

 14日の試合は、東葉相手に前半立て続けに8点を奪ったものの、雨で一時中断。再開後に3点を許すもそのまま逃げ切り4-8で3回戦を突破した。

 試合後、取材に応じた佐々木悠太選手は、「終盤少し危ない部分があったが、全員落ち着いていた」と振り返った。

 4安打2打点の活躍をみせたことについては、「朝の練習の成果が出た」と話し、「朝のバッティング練習で教わったことを意識しながら打席に立った」ことを明かした。

 また、みんなが仲が良いと口を揃えていたことを伝えると、「そうですね、仲良いです」と笑顔で答え、「自分たちは団結力が強み。全体的に足も速く、スピードと粘りをチームの持ち味です。春は木更津総合に負けているので、そこに勝ちたい。その前にも強豪揃いなのでしっかり全員で束になって勝ちに行きたい」と語った。

 マネージャーについては、「いつも自分たちのサポートをしてくれていて、感謝しています。負けたら申し訳ない、絶対勝ちたいという気持ち」と話し、爽やかな笑顔で「甲子園連れていきます!」と答えた。

 2018年に春夏の2季連続で甲子園に出場し、その後も好成績を収める中央学院。 

 マネージャーの想いも胸に、団結力で勝利を掴み取る。

原 彩羽さん

「今まで近くでみんなの努力をみてきたので、とにかく最後まで全力出しきって、楽しんでほしいです!」

藤川 千太郎さん

「マネージャーになってから、常に周りに気を配っています。次は何をしなければいけないと考えながら仕事をしなければならない。それが1・2年生のときは出来ずに悩むこともありましたが、先輩らのおかげで今はやるべきことがわかるようになりました」

「この3年間で自分も成長することができたし、本当にありがとうと言われるだけで達成感があります」

「最後の大会、集大成なのでやりきって、甲子園に連れて行ってほしいです」

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