大原家寄贈の玉堂作品 じっくりと 岡山県立美術館で特別展示始まる

「寒林閒處図」(左手前)など玉堂の優品が並ぶ会場

 倉敷市の旧家・大原家から岡山県に寄贈された江戸後期の文人画家浦上玉堂(1745~1820年、岡山市出身)の書画、資料の特別展示が16日、同市北区天神町の県立美術館で始まった。独創的で奥深い山水画や書が美術ファンを魅了している。

 玉堂は備前岡山藩の支藩・鴨方藩士の家に生まれ、大目付役まで務めたが、50歳で脱藩。以後、諸国を巡って琴詩書画を楽しみ、残した作品は国内外で高く評価されている。

 展示されているのは書画44点と資料1点で、書画は脱藩前の画業早期から画風が確立された60代以降の代表作までを網羅する。世俗を離れた山林の情趣を乾湿交ぜた筆遣いで表した「山雨染衣図」(国重要文化財)や「寒林閒處(かんしょ)図」(重要美術品)などの優品が並び、訪れた人がじっくりと鑑賞。味のある運筆の漢詩なども注目を集めていた。会社員(37)=岡山市北区=は「奔放なようで繊細な描き方。独特の表現に引き込まれる」と話していた。

 作品は大原美術館を創設した大原孫三郎らが収集。寄贈は、孫三郎の孫の大原謙一郎・大原美術館名誉館長が、コレクションを多くの人に鑑賞してほしいと県立美術館に相談して実現した。

 8月28日まで(7月19、25日、8月1、8、22日休館)。

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