栃木県内の感染累計10万人超 県の第7波対策「経済と両立」

栃木県の新型コロナウイルス感染者数の推移

 栃木県内では16日、新たに計980人の新型コロナウイルス感染者が確認され、累計感染者は10万305人となった。2020年2月の県内初確認から約2年5カ月で10万人を超えた。オミクロン株の派生型「BA・5」への置き換わりで感染が急拡大する中、県は感染拡大防止と社会経済活動の両立に軸足を置き、行動制限を求めずに「第7波」を乗り切りたい考えだ。

 9万人を超えた5月26日から52日間で10万人に達した。5万人から6万人になるには19日間、7万人と8万人までには各16日間、9万人までには28日間かかっていた。6月に感染ペースが鈍化したが7月以降、急拡大している。

 同月3日以降は前週の同じ曜日の2~3倍の新規感染者数が続く。主な要因はBA・5の拡大で、県内でも既に5割以上が置き換わり主流になったとみられる。

 過去の感染拡大期で県は、飲食店に営業時間短縮、県民に移動や会食の自粛などを求めてきたが、社会経済活動を維持する国の方針に倣って現時点では行動制限を求めない方針。感染力は高いが重症化しづらいとされる株の特性も考慮し、感染者数より医療提供体制への負荷を注視している。

 県は15日、いったん減らした確保病床数の増床や、臨時医療施設の再開も決めた。第6波で課題となった高齢者施設への往診についても、県医師会などと連携して万全を期す構えだ。

 軽症や無症状の自宅療養者の健康観察については、12日から外部業者への委託を始めた。観察を一手に担ってきた保健所は、重症化しやすい高齢者や持病がある人の対応に注力する。

 6月には1桁台だった病床使用率は15日現在で20.6%に達した。重症者はゼロだが、酸素投与が必要な中等症者は9人。熱中症の影響もあって宇都宮市内では救急搬送困難事案も微増するなど、医療への負荷は徐々に高まりつつある。県感染症対策課は「これまでの経験も踏まえ、状況に応じながら対策を打ちたい」と強調する。

 累計10万人を超えたことで福田富一(ふくだとみかず)知事はコメントを出し「非常に手ごわい相手と対峙(たいじ)している状況。感染リスクが高まる中、無料検査やワクチン3、4回目接種を積極的に検討してほしい」と訴えた。

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