またも足踏み

 元号でいうと大正7年。「スペイン風邪」の初発事例とされる患者が米国の陸軍基地で報告されたのが3月4日。その3日後には“経営の神様”松下幸之助の「松下電気器具製作所」が大阪で産声を上げた。米騒動はこの年の夏。第1次世界大戦が終わったのは11月11日▲…などと「104年ぶりの快挙」に備えて、柄にもなく1918年の“予習”をしたのがいけなかったか。立ち上がりから3連打を浴びて、いきなり無死満塁のピンチを背負った昨日の投球▲心配無用-とばかりに、ここからギアが一段上がる。真横に滑るように曲がる高速スライダーを武器に、後続の3人はいずれも空振りの三振。握りこぶしを振り上げながらマウンドでひと吠え▲本塁打などで2点のリードを許し、6回を投げ終えたところで降板。味方の反撃がなく、無念の今季6敗目となったが、昨日も堂々のピッチングを見せた米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手▲18個のアウトのうち11個を三振で取った。これで6試合連続の2桁奪三振。「9試合連続」のメジャー記録が視野に入り始めた。「ベーブ・ルース以来の2桁勝利&2桁本塁打」の偉業は前回登板に続いて足踏みとなったけれど▲そう、こういう状態のことを「時間の問題」と呼ぶのだ。お祝いの原稿はどう書こう。(智)

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