世界の戦争被害者を代弁 「平和への誓い」宮田さん決意 長崎 司会は今道さん、山下さん

「平和への誓い」を述べる宮田さん(中央)と司会を務める今道さん(左)、山下さん=長崎市魚の町、市男女共同参画推進センター

 9日の「長崎原爆の日」の平和祈念式典で、被爆者代表として「平和への誓い」を述べる宮田隆さん(82)=雲仙市=と司会を務める高校生2人が1日、長崎市内で記者会見した。宮田さんはウクライナ危機で平和を語るのが難しいとしつつ「世界の戦争被害者を代弁しないといけない」と決意を語った。
 宮田さんは、5歳の時に爆心地から2.4キロの長崎市立山町(当時)の自宅で被爆。8畳間から玄関口まで吹き飛ばされ、母親の胸の中で目覚めた。自宅に逃れてきた看護師が目の前で絶命。その後家族で島原半島に歩いて疎開した。
 毎年8月9日は学校で被爆講話をしており、式典に参加するのは初めて。「平和への誓い」では被爆体験だけでなく、6月にオーストリア・ウィーンで開かれた核兵器禁止条約第1回締約国会議での経験も語る。「被爆者の生きざま、ウィーンでの体験、若者への期待、過去現在未来を語りたい」と意気込む。
 司会は海星高3年の今道和奏さん(17)と山下咲子さん(18)に決まった。同校から司会者が選出されるのは初めて。
 2人とも放送部に所属。部長を務める今道さんは「貴重な機会をいただいた。式典を通して、戦争をなくすために相手を尊重することの大切さを伝えていきたい」。祖父が被爆者という被爆3世の山下さんは「自分たちの声が祈りになる。若い世代が発信することで平和の大切さと戦争の恐ろしさを知ってもらいたい」と力を込めた。


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