地域の魅力発信 吉備の環マルシェ 5万号記念 本社で20、21日

日本茶インストラクターでもある小林さん。吉備の環PTにお茶の楽しみ方をじっくり教えてくれた=昨年12月、美作市

 山陽新聞社は、21日に紙齢(通算の発行号数)5万号となるのを記念し、「吉備の環(わ)マルシェ」を20、21の両日、岡山市北区柳町の本社で初めて開催する。

 地元産いちごシロップのかき氷や和洋スイーツ、たこ飯、天然酵母パンなど岡山県内7市3町の計12店が参加を予定。山陽新聞社が展開している「吉備の環」プロジェクトの一環で、地域の魅力を掘り起こそうと同県内各地を歩いた山陽新聞グループ社員や連載「吉備を環(めぐ)る」の担当記者が出合った食や特産品から選んだ。

 岡山市内での販売は初めての店、新型コロナウイルス禍のためイベント参加は約2年ぶりという店もあり、各店とも「お客さんとのふれあいが楽しみ」と、感染対策に配慮して準備を進めている。

 出店者など詳細は「吉備の環」プロジェクトのホームページに掲載。問い合わせは同プロジェクト推進本部(086―803―8091、平日のみ)。

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 「地域自慢の味を楽しんでほしい」「まちに足を運んでもらうきっかけになれば」―。20日から2日間の「吉備の環マルシェ」(山陽新聞社主催)は、こだわりのものづくり、まちづくりに取り組む出店者たちの熱気に包まれそうだ。

 山陽新聞社の「吉備の環」プロジェクトでは、本社と関連各社の社員3人一組でつくるプロジェクトチーム(PT)が昨年10月から延べ100日以上かけて県内27市町村を巡り、400人以上から地域の魅力や課題を聞き取った。連載「吉備を環(めぐ)る」は県内三大河川流域や旧街道沿いの人や自然を第11部まで140回にわたって連載している。

 どの地域にも、気候や土壌を生かした自然の恵みを届けようとする人がいた。一方で、高齢化が進む中山間地域などでは、PRや販路開拓の難しさに直面しているケースもあり、そうした声に今回、マルシェを通じて応えることにした。

 昨年12月に美作市を訪れたPTは、今年創業160年の製茶業・小林芳香園(同市海田)へ。真夏に茶葉を天日干しする美作番茶の伝統製法を時代に合わせるかたちで守り継ぐ小林将則さん(31)の熱意に圧倒された。

 今年8月5日付の連載「吉備を環る」で紹介した小林さんは、県南のマルシェには今回が初出店で「若い人にお茶の文化を広めるよい機会。夏にお勧めの入れ方やアレンジレシピを紹介したい」と意気込む。

 4月に連載で取り上げた井原市芳井町明治地区の特産・明治ごんぼうを使ったかりんとうも並ぶ。製法を受け継ぎ、夫婦で手作りしている菓子工房よいち(同町簗瀬)の渡辺ももこさん(38)は「加工品をきっかけに明治ごんぼうを知ってもらい、地域の元気につながれば」と期待している。

 マルシェではこのほか、赤磐市の天然酵母パンやレース小物、吉備中央町の発酵ゼリー、矢掛町の団子、真庭市の蜂蜜、総社市のハッカ製品、早島町で人気のレモネードなどを販売する。美作市の鹿革を使ったキーホルダーの加工体験もある。

「大地を感じるでしょ」。豊かな風味と歯応えが特徴の「明治ごんぼうかりんとう」を作る渡辺さん=4月、井原市

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