宿泊盛況、客足鈍い飲食店… コロナ禍3回目の夏 長崎県内帰省ラッシュで“明暗”

海上アスレチックなどを楽しむ海水浴客=長崎市、伊王島海水浴場

 新型コロナウイルス禍で3度目となるお盆の帰省ラッシュが11日、始まった。感染者は急増しているが、3年ぶりに行動制限がなく、県内のレジャー施設や宿泊施設は盛況。一方、飲食店は客足が鈍っており、明暗が分かれる。
 長崎市伊王島のリゾート施設「アイランドナガサキ」は、海水浴やマリンスポーツなどを楽しむ家族連れらでにぎわっている。天候にも恵まれ、宿泊予約は好調。悪天候も影響しキャンセルが相次いだ昨年の1.5倍になっている。
 雲仙市の小浜温泉街も宿泊予約が上向いている。「旅館ゆのか」は10日ごろから15日までほぼ満室。同旅館の山下浩一代表(62)=小浜温泉旅館組合長=は「長く続く新型コロナ禍への慣れもあり、宿泊客が戻ってきている。予約の約半数は長崎県民で、残りもほとんどが九州内から。県民宿泊割引に助けられている部分が大きい」と状況を明かす。「従業員や家族が感染すると旅館の人繰りが厳しくなり、最悪の場合、休館の可能性も出てくるので心配は絶えない」とも漏らす。
 五島市の「カンパーナホテル」は予約で満室状態が続く。市独自の割引キャンペーンもあり、担当者は「キャンセルが出ても次の予約ですぐに埋まる」。昨年8月は半分ほどの稼働だったが「今年はコロナ前の水準に戻っている。九州外からの帰省客が目立つ」と語る。一方、市内の別のホテルはここ数日の感染急拡大で「(島内の)親族から帰省を止められた」などの理由でキャンセルが増えつつあるという。
 レジャーも堅調。佐世保市のハウステンボス(HTB)は、8月に入っての入場者数が昨年比約2、3割増。コロナ前の2019年と比べると約8割以上になっている。花火やプールなど家族連れも楽しめる夏のイベントを展開しており、担当者は「感染対策を万全にして、お客さまには夏のイベントを楽しんでほしい」とさらなる集客に期待する。
 10日夜。長崎市中心部の飲食店街は人通りがまばらだった。一人で切り盛りする居酒屋の店主は「きょうは多い方。平日はもっと少ない。感染者が増え出した7月中旬から客足は減る一方」と話した。例年、お盆は予約が入るが「今年は全くない」と声を落とし、「県外から帰ってくる人たちに飛び込みで来てほしい」。
 バーを経営する20代男性は「感染者増で職場の懇親会が自粛傾向にあり、2次会利用も少ない。行政の協力金があると助かるが、政府の方針を見ると諦めムードです」とため息をついて開店準備に取りかかった。


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