九州リーグ優勝を目標に掲げ、昨季から半数以上のメンバーが入れ替わりスタートしたジェイリースFC。最終節は台風14号の影響で延期となり、成績は4位で終える。首位の沖縄SV(19勝1分)との勝ち点差は18と大きく離されたが、直接対決では1分1敗。全勝優勝を目指した相手に、唯一勝ち点を分け合った。選手兼任監督の永芳卓磨は、「試合を重ねるごとにチームの成熟度は上がった。けがやコロナ禍でベストメンバーが組めない中、上位陣と互角に戦えるようになった」と総括する。
創部5年目のクラブは、今季は元日本代表の我那覇和樹や元大分トリニータの小手川宏基、佐藤昂洋らを加えて戦力は上がった。リーグ戦前半は序盤から連勝したが、後半の上位との3連戦を前に新型コロナウイルス感染症の陽性者が出て活動中止。準備不足は否めず、3連敗で失速した。後半戦は格下チームに取りこぼしはあったが、けが人が増える中、先発メンバーの組み合わせを変えながらシステム変更を試みた。ビルドアップが安定し、攻撃の崩しの形を整理したことで、復調のきっかけをつかんだ。
もちろん課題もあり、ふとした隙を突かれて失点を重ねる試合運びのつたなさは改善しなければいけない。守備を統率するDF福元考佑は「無駄な失点があり、勝てる試合を落とすこともあった。戦術理解度の高い選手が加入して戦力は上がったが、上位に勝てるチームにならなければ上のリーグでは戦えない」と課題を挙げ、我那覇は「(リーグ戦の)後半はボールを持てる時間が増え、自分たちの時間が増えた」と収穫を口にした。
次の目標は、10月の全国社会人選手権大会で3位に入ること。チームとして初めて参戦する全国規模の大会だ。この大会で上位3チームに入れば、全国地域チャンピオンズリーグへの出場権を得る。永芳は「トーナメント戦であり、優勝するためには5日で5試合をこなさなければいけない。戦い方を大きく変える必要はないが、総合力が問われる大会となる」と話し、大会までの間にチームの底上げが必要と感じている。福元は「強い相手に対し、守備は失点ゼロで抑え、攻撃は数少ないチャンスをものにできるかがポイントになる。自分たちの力がどんなものなのか計りたい」と勝負への強いこだわりを示した。
(柚野真也)