収蔵資料にまつわる記憶、後世に 原爆資料館 長崎市が寄贈者へ聞き取り調査

調査対象の一つで、爆心地から約800メートルの山王神社近くの民家にあった柱時計(長崎原爆資料館所蔵)

 長崎市は、長崎原爆資料館(平野町)が収蔵する被爆資料にまつわるエピソードなどを寄贈者らから聞き取り調査する事業に着手した。被爆100年(2045年)を見据えた取り組みの一つで、より重層的に被爆の記憶を後世に伝える狙い。
 市被爆継承課によると、同館は被爆資料約2万点を収蔵。原爆投下から77年が経過し、被爆者のいない時代が迫る中、資料の重要性が高まっている。
 まずは柱時計や瓦などの現物資料と、罹災(りさい)証明書などの記録資料のうち、連絡先が分かっている約450人約千点について調査協力を依頼。20日、依頼文書を発送した。遺族を含め調査に応じる人に順次、学芸員が聞き取りをする。集めた情報は資料化し、将来的に展示などに活用する考え。
 今後も連絡先が判明した分は随時、調査協力を依頼。絵画などの美術品や写真についても来年度以降取り組む方針で、25年度までを調査期間としている。
 同課の伊福伸弘課長は「今取り組むべき喫緊の課題と認識している。協力をお願いしたい」と話した。


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