長崎大片淵キャンパス 長崎市中心部に移転検討 大学側、県と市に協力要請

長崎大が移転を検討している片淵キャンパス=長崎市片淵4丁目

 長崎大(河野茂学長)は22日、キャンパスの長崎市中心部への移転を検討していると発表した。移転キャンパスは明らかにしていないが、複数の関係者によると、同市片淵4丁目の経済学部のキャンパスを想定しており、大学事務局や複数の学部が立地する同市文教町のキャンパスの一部を含む可能性もあるという。
 同大は同日、大石賢吾知事と田上富久長崎市長に対し、移転検討への協力を文書で要請。移転先の用地確保や費用負担などが念頭にあるとみられるが、移転が実現するかどうかは「流動的」(関係者)という。
 先月22日、県内の産官学7団体のトップが意見を交わす「長崎サミット」の会見で河野学長は「ここ数年で多文化社会学や情報データ科学といった新学部ができ、文教キャンパスが手狭になっている。片淵には経済学部があるが、1学部だけではなかなか社会の要請や課題に対応できない」と移転の必要性に言及。学部間交流や企業との連携のため市中心部の公共用地への移転に意欲を示し、県美術館周辺や県庁舎跡地など具体名を挙げた。
 同席した大石知事は「(いずれも)県有地で、活用法の話は既にいろいろ進んでいる」としながらも「長崎市のまちづくりにとっても良いという前提であれば、(移転の)後押しはやぶさかではない」と述べた。
 同大経済学部は1905年、片淵地区に設立された長崎高等商業学校が前身で、100年以上の歴史がある。
 同大キャンパスを巡っては、文教キャンパスの情報データ科学部を大村市に移転する計画があったが、維持費が多額に上ることなどを理由に昨年5月に断念している。


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