栃木国体 フェンシング成年男子 「3本の剣」で公約通りに優勝 【大分県】

第77回国民体育大会(栃木国体)

フェンシング(フルーレ) 成年男子

10月3日 上三川町体育センター

決勝 2-0京都

準決勝 2-1東京

準々決勝2-0茨城

3回戦 2-0福島

最強メンバーをそろえ、「優勝しかない」と臨んだ栃木国体のフェンシング成年男子フルーレ。大分県選抜が公約通りに優勝した。シニア男子フルーレの日本ランキング5位の中村太郎(法政大4年)、同7位の上野優斗(県フェンシング協会)、同22位の大石利樹(山九)の実力者がそろう「3本の剣」は、東京五輪代表の選手がいる相手であっても「人のチームワークで勝てばいい」(大石)と力を結集した。

予選リーグとなる1、2回戦を全勝し、トーナメントとなる3回戦からは1番手の最年少中村がチームを勢い付けた。「後ろに頼もしい2人がいるので、僕は思い切り自分のフェンシングだけに集中できた」と話すように、プレッシャーは皆無だった。どんな相手でも柔軟に対応できる「総合力の高さが武器」というオールラウンダーは、相手の攻撃を見切り、一瞬の隙を逃さず攻撃に転じてポイントを積み重ねる。決勝まで全勝して、チームの勝利に貢献した。

監督を兼務した大石利樹

幼い頃から中村と剣を交える上野が、中村の活躍に奮い立たないわけがない。エース格が登場する2番手で勝負強さを発揮する。「ほとんどの選手がナショナルチームで対戦したことがある」と互いに手の内を知る相手に、「気合と動きがかみ合った」と前後に激しく動き、そこから勝負を仕掛けた。山場となった準決勝、東京との試合では、オリンピアンの松山恭助(日本ランキング2位)と互角の戦いを演じ、最後は1ポイント差で敗れたが、大きな爪痕を残した。決勝の京都戦では、先に4ポイントを先取されたが、「追い詰められたことで吹っ切れた」と怒濤(どとう)の攻撃で逆転勝利。上野は「今後の大会につながる試合ができた」と大きな手応えをつかんだ。

3番手として2人を見守った大石は、「3人で勝てばいいという気持ちでいた。誰かが負けても、誰かがカバーすればいい」とどっしりと構えていたが、内心は「優勝すると宣言したときからプレッシャーがあった。国体は大分を背負っているので負ける訳にはいかなかった」。それでも最年長らしく、冷静な試合運びで確実に勝利をつかんだ。

「優勝できたことが全て」と3人は声をそろえた。大会後はそれぞれの所属チームや大学で腕を磨く。同年代の3人は仲間でありライバルでもある。国体は成長した姿を確認しあう場だ。「個人の力を伸ばし、来年も3人の力を結集したい」(大石)と日本トップクラスを擁する県選抜は、「三本の剣」で来年以降も優勝を目指す。

3人の力を結集した「3本の剣」で勝利を勝ち取った

(柚野真也)

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