造山古墳 後円部墳頂の発掘始まる 岡山市教委、戦国の城跡確認へ

造山古墳の後円部墳頂で始まった岡山市教委の発掘調査

 巨大前方後円墳・造山古墳(岡山市北区新庄下、国史跡)で17日、岡山市教委による初の後円部墳頂の発掘調査が始まった。築造当時の姿や、墳頂一帯に築かれた戦国時代の城跡を調べるのが目的で、未確認の石室の存在が明らかになる可能性もある。

 初日は墳頂の中心から北側へ長さ25メートル、幅1メートルの試掘溝を設定し、スコップで表土を剥ぎ取っていった。深さ40センチほど掘り下げ、小さな埴輪(はにわ)片が出土したが、この日は城跡や石室に関わる遺構は見つからなかった。試掘溝は今後、L字形に東側にも延ばし、幅も広げる。

 同古墳には羽柴秀吉の備中高松城水攻め(1582年)の際、敵対する毛利勢が陣城(とりで)を築き、今も土塁や曲輪(くるわ)跡が残る。今回の調査では、風化が進む城跡の現状を把握するとともに、本来の墳丘の残り具合や、どのように改変されたかを確認する。

 調査は12月中旬までの予定。現場担当の原田悠希・文化財課主事は「土層の変化に注意しながら慎重に掘り進め、造山の墳頂部の姿を明らかにしていきたい」と話している。

 造山古墳は5世紀前半に築かれ、墳長は全国第4位の約350メートル。保存整備を目指して市教委が2016年度から発掘調査している。

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