やってみなはれ 創業者の精神健在 サントリーHD副会長 岡山で講演

定例幹事会で講演する鳥井氏

 岡山経済同友会(岡山市北区厚生町)は19日、定例幹事会兼ICT・ものづくり委員会特別例会を同市内で開き、大阪商工会議所会頭でサントリーホールディングス(大阪市)副会長の鳥井信吾氏が「サントリーのものづくりと鳥井信治郎の考え方」と題して講演した。祖父で創業者の信治郎氏から得た教訓などを語った。

 鳥井氏は、信治郎氏が戦後間もないころ、路上生活者を目撃して炊き出しをした逸話を披露。「見て見ぬふりができない情の人で、すごく面倒見が良い。行動も早かった」と決断力、実行力に優れた人物像を紹介した。「瞬間湯沸かし器みたいに怒ったらめちゃくちゃ怖いけど、後には引かなかった」と横顔も伝えた。

 信治郎氏の口癖だった「やってみなはれ」を引き合いに「実行してみて初めて分かることがある。分かるからこそ次に進める」と挑戦する意義を強調。「彼の考えが今のサントリーにも生きている」と述べた。

 同社の看板商品であるウイスキー造りにも触れ、貯蔵する木だるの成分が溶け出して味が変化する工程を解説。「熟成期間によって、それまでなかった香りが出る」と言い、信治郎氏が「利子がつく」と表現したエピソードも話した。

 会員ら約160人が聴いた。

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