倉敷市羽島の陶芸家岡本篤さん(78)が27日、自宅に構える天神窯で来年のえと・卯(う)にちなんだ香合を窯出しした。新型コロナウイルス禍が続く中「今はうずくまっていても、ウサギのように『ぴょん』と起き上がり、優しい気持ちでいられるように」との願いを込めた。
香合は高さ5センチ。「瑞霞釉(ずいかゆう)」という釉薬(ゆうやく)で柔らかい雰囲気に仕上げ、ピンク色の耳と赤色の目で愛らしさを表現した。4月に玉野市の渋川動物公園に出かけ、走り回るウサギを観察して参考にしたという。
この日は30時間ほどかけて焼き上げた約100個を窯から出し、一つ一つ手に取り出来栄えを確かめた。年内にあと約100個を完成させる予定。28日から30日まで同窯で開く作品展で披露する。
えとの香合は、岡本さんの父欣三さん(2001年没)が1948年に作り始めた。岡本さんが引き継ぎ、今回で75作目になる。