“波佐見焼の若者人気” 観光客調査で裏付け 長崎県立大・竹田准教授

大勢の焼き物ファンでにぎわった波佐見陶器まつり=4月29日、東彼波佐見町

 波佐見焼の産地、長崎県東彼波佐見町を訪れる観光客の6割は50歳未満で、有田焼で知られる佐賀県有田町の2割と比べ、若者が多い-。こうした焼き物ファンの傾向を示す調査結果を県立大地域創造学部の竹田英司准教授(地域経済学)がまとめた。「『若い人が買いに来る』という波佐見焼関係者の肌感覚が数字で裏付けられた」と話している。
 竹田准教授のゼミは昨年、波佐見町で1779組、有田町で311組、美濃焼の岐阜県多治見市で508組の観光客に聞き取り、それぞれの消費志向などを分析した。
 日用食器が主体の波佐見は50歳未満が63%で、有田の22%と多治見の31%を上回った。20代に限ると、波佐見は23%で、有田の3%、多治見の9%とはさらに大きな差が出た。
 一方、50歳以上は高級食器や工芸品で有名な有田が78%を占め、多治見は69%、波佐見は36%だった。1人当たりの観光消費額は有田が1万304円と抜きんでており、波佐見は4341円、多治見は4044円。このうち飲食費は3産地とも千円程度だった。
 波佐見焼は明治以降、有田焼として流通していたが、産地表示厳格化の風潮を受け、2004年ごろからブランド化やデザイン向上を推進。県外からの移住者らが製陶所跡を再活用した「西の原」は、若い世代の人気スポットになっている。
 竹田准教授は「20代は古いものと新しいものが融合したまちの雰囲気や食べ歩きを楽しんでいるようだ。幅広い世代をまんべんなく集客しているのが波佐見の強み」と話した。調査結果は9月に出版した著書「地域再生の産業観光論 やきもの産地のコト消費とモノ消費」(同友館)に掲載した。


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