SDGsに「核廃絶」追加を 市民社会、国に強い影響力 ICU・毛利教授が提言

国連の定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」に、新たに「核廃絶」を加えるべきと語る毛利教授(左)=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 国際基督教大(ICU)の毛利勝彦教授(国際関係学)は12日、長崎市内であった市民講座で核軍縮などをテーマに講演し、核兵器廃絶に向けて、国連の定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」に、新たに「核廃絶」を加えるべきと提言した。貧困や経済問題など、さまざまな分野と協調して廃絶に取り組む必要性を訴えた。
 市民講座は、県と長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会の主催。毛利教授は、SDGsには「法的拘束力はない」としながらも、市場や市民社会、国への強い影響力があると指摘。影響力の管理や活用で「核廃絶は可能」とした。
 また若い世代を「将来世代の代表」とした上で「若者の声こそ聞かなければならない」と強調。若者に対しては「自分が20代、30代になったとき、どんな世界でありたいか共有してほしい」と語った。
 共に登壇した長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の吉田文彦センター長は「核保有国が上位で、非核兵器国が言うことを聞く」という構造を乗り越えることが廃絶までの重要な条件とし、SDGsの「誰ひとり取り残さない」という理念は、核廃絶をする上で「とても大事」と話した。
 会場の約60人に加え、オンライン会議システムでも約150人が聴講した。

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