「核使用は正当化されない」 ポルトガル議長 長崎の被爆者と面会

被爆者の(左から)朝長さん、田中さんと懇談するサントスシルバ議長(右)=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 ポルトガル議会のアウグスト・サントスシルバ議長が17日、長崎市内で被爆者2人と面会した。同国は米国の核の傘に頼る北大西洋条約機構(NATO)に加盟しているが、議長個人として「核兵器の使用はどんな形でも正当化されない。どの国も核兵器を保有しないことを、核兵器禁止条約に基づいて進めるべき」と見解を述べた。
 面会した被爆者は、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(82)と県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(79)。被爆体験や戦後に病気で苦しんできた経験を語り、田中会長は「平和な社会のため、武力ではなく友好や交流、外交で信頼関係をつくることが必要」と訴えた。サントスシルバ議長は核廃絶に向け「政府だけでなく、皆さんのような市民社会の活動も必要」と応じた。
 終了後に朝長会長は、NATO加盟国の議長が「核兵器禁止条約を評価していることに感動した。そのような国が出てくることが、核保有国も条約に加わるきっかけになる」と話した。
 議長と議員4人が19日まで日本に滞在し、歴史的なつながりが深い長崎市を訪問。出島や長崎原爆資料館を視察し、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で献花した。


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