グッドルーザー バレーボール女子 ノーシードから勝ち上がり、絶対王者に一矢報いた大分商業 【大分県】

全日本高校選手権大会(春の高校バレー)の県予選でノーシードから決勝戦まで勝ち上がり、絶対王者・東九州龍谷(東龍)を相手に善戦した大分商業。新チームになってから苦難の連続であったが、3年生4人は悔いなく高校でのバレーボール生活を終えた。キャプテンの黒佐明椰(3年)は「(今年3月の)県高校新人大会から始まった1年間、思うように勝てずに悔しい思いばかりしてきた。決勝まで上がれたのは森栄一郎先生(監督)、コーチ、保護者が支えてくれたおかげ」と感謝の言葉を口にした。

打倒・東龍の一番手として、春の高校バレー県予選では9年連続決勝まで勝ち上がった大分商業の歯車が狂ったのは、不運にも新型コロナウイルスによる感染拡大だった。新チームでの初めての公式戦となった3月の県高校新人大会では準々決勝で棄権敗退、その後の大会では調子も上がらず、ベスト8止まりが続いた。ただ、この勝てない期間にレシーブ力を徹底的に鍛え、ボールを落とさない粘り強さを手にした。松田寿(同)は「ベスト8に落ちてはい上がるのは難しかったけど、きついことを乗り越えたから今があると思う」と振り返る。

これまでの悔しい思いを爆発させた

今大会は「復活」を掲げ、準々決勝で大分西、準決勝で宿敵・国東、共にストレート勝利で決勝に進出した。決勝では東龍から2014年以来、8年ぶりにセットを先取すると、チームには「このままいける!」という空気が流れた。第2セットも高さとパワーで圧倒する東龍の強打を拾い続けたが、「東龍は強かった」と黒佐。徐々に点差が開き、相手の勢いに圧倒される場面が増えた。「レシーブで粘って拾うバレーはできたが、最後は集中力が切れて、ボールが落ちた」(黒佐)。勢いを取り戻した相手から流れを引き戻すことができず逆転負け。試合後に悔し涙を流したが、大きな手応えも感じていた。

黒佐は「来年以降も東龍を倒すチャンスはある。1セット取れたことは良かったが、本当の目標は東龍に勝つこと。まだ一歩足りなかったのは何なのかを後輩には追求してほしい」と話し、松田は「高さはレシーブ力でカバーできた。攻めの戦術を磨けば対等に戦えると思う」と、決勝の舞台を経験した下級生に打倒・東龍の思いを託した。

 粘り強いレシーブが際立った大分商業

(柚野真也)

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